キャベツ約3,200個。ハウスのニラ約325kg。植えて3日目のミニトマトの苗約2,500株。
2024年の冬から2026年にかけて、関東の畑とビニールハウスで実際に盗まれたものです。収穫の直前に、まとめて刈り取られています。苗まで根こそぎ抜かれています。
この記事では、関東の畑とハウスで何が起きているかを公表資料と報道で整理したうえで、どう守るかを書きます。先に、いちばん大事なことを書いておきます。守れるかどうかは、侵入者に「その場で」警告できるかどうかで決まります。
先に結論です
- 関東では、キャベツ、ニラ、トウモロコシ、ミニトマトの苗、メロンなどが、畑やハウスからまとめて盗まれています。収穫用の包丁を使った跡がある事例や、良いものだけを選んで持っていった事例もあります
- カメラの記録や、スマホ・PCへの通知は、あとから役に立つものです。盗まれるのを止めるのは、その場の光と音です
- 電気があるハウスや畑なら、難しくありません。出入口にカメラ・センサーライト・サイレンを付けられます
- 電気のない畑でも、電気を引き込むか、ソーラーパネルと蓄電池の業務用の電源を使えば、サイレンまで動かせる可能性があります
- ソーラー式のカメラ単体は、記録とスマホでの確認が中心です。それだけでは、侵入者に警告できません
関東の畑とハウスで、何が起きているか
| 時期・場所 | 盗まれたもの | 状況 |
2024年12月 茨城県八千代町 | キャベツ約1,200個(約60万円) | 17日夕方〜18日朝の夜間。収穫用の専用包丁を使った跡。翌日に収穫する予定だった |
2024年12月 茨城県古河市 | キャベツ約1,200個(約39万円) | 14日夕方〜15日午前 |
2024年12月 茨城県結城市 | キャベツ約840個(約30万円) | 県警は、車両を使ったグループの犯行の可能性があるとみていた |
2025年3月 茨城県筑西市 | ハウスのニラ 約160kg+約165kg | 2晩続けて、近くのハウスから。収穫前の地上部が刈り取られていた |
2026年3月 茨城県下妻市 | ミニトマトの苗約2,500株(ハウス5棟分)と耕運機 | 植えて3日目の苗が根こそぎ。マルチの上に無数の足跡。経費を含めた被害は約180万円 |
2026年6月 栃木県宇都宮市 | ハウスのトウモロコシ約1,000本(約15万円) | 前日の朝6時には異常なし。5,000本のうち良いものだけ。農家は「400本の収穫に2時間かかる。複数犯だろう」 |
2026年6月 千葉県銚子市 | メロン約10個 | 警察・市・JA・農家の意見交換会の当日の朝。「毎年のように被害が相次ぐ」 |
畑の盗難の特徴
- 夜に来て、朝には終わっている。どの事例も、気づいたのは翌朝、収穫や換気に来たときです
- 量が多い。キャベツ1,200個、トウモロコシ1,000本は、手で持ち帰れる量ではありません。車を入れて、複数人で作業しています
- 手慣れている。収穫用の包丁を使う、良いものだけを選ぶ、収穫の前日を狙う。作物と収穫の時期を知っている相手です
- 作物だけではない。下妻市の事例では、苗と一緒に耕運機も盗まれています
関東の各県の件数
警察庁の犯罪統計をもとにした、2025年の農作物盗難の認知件数です(農林水産省「農作物の盗難の実態と対応策」)。
| 都県 | 2025年の件数 |
| 埼玉県 | 128件 |
| 茨城県 | 99件 |
| 千葉県 | 97件 |
| 神奈川県 | 93件 |
| 群馬県 | 64件 |
| 栃木県 | 61件 |
| 東京都 | 21件 |
※県警が独自に出している数字とは、集計の基準が違うため一致しません(埼玉県警は2025年に125件、群馬県警は35件としています)。
栃木県警の調べでは、県内の被害品目は
いちごが37%、もも25%、ぶどう9%です。栃木県が令和4年に調べたところ、被害を受けたいちごハウスや果樹園の
ほとんどが、柵・施錠、センサーライト、防犯カメラのいずれもしていなかったそうです。
大事なのは、その場で侵入者に警告できるか
畑の防犯で、いちばん大事なことを書きます。
カメラの記録や、スマホ・PCへの通知は、侵入者への警告にはなりません。
夜中にスマホに通知が来ても、畑に駆けつけるころには、キャベツはトラックの荷台です。PCから警告音が鳴っても、それを聞くのは持ち主で、侵入者ではありません。記録は、あとで警察に届けるときには役に立ちます。でも、その夜の被害は止められません。
止めるには、
侵入者がいるその場所で、光と音を出すことです。
株式会社White&Greenが太陽光発電所で組んでいるのは、この形です。センサーが人に反応した瞬間にセンサーライトが照らし、パトランプ(サイレン)が「警察に通報します」という音声を流します。実際に、下見に来た窃盗団に対してセンサーが反応し、音声に気づいた近隣住民が警察に通報して、被害ゼロで終わった現場があります。
畑から盗むのも、下見をして、夜に、車で来る相手です。同じ考え方が使えます。問題は、
畑には電気がないことが多いという点です。
畑とハウスの条件で、組み方が分かれる

カメラの記録やスマホへの通知だけでは、侵入者は止まりません。
| 条件 | その場で警告できるか | 組み方 |
| 電気があるハウス・畑 | できる | 出入口にカメラ・センサーライト・サイレン |
| 電気を引き込める畑 | できる | 電気を引き込んでから、同じ構成 |
| 電気を引けない畑 | 条件しだいで、できる | ソーラーパネルと蓄電池の業務用の電源で、サイレンを動かす |
| (参考)ソーラー式のカメラだけ | できない | 記録とスマホでの確認 |
電気があるハウスなら、難しくない
ビニールハウスに電気が来ているかは、ハウスによります。
電気があれば、難しい工事ではありません。
ハウスは出入口が限られているので、守る場所がはっきりしています。
出入口にカメラとセンサーライトを付け、センサーと連動したサイレンで警告し、施錠する。倉庫と同じ考え方です。
農林水産省の資料には、いちごハウスで果実が盗まれたあと、防犯カメラを付けて「防犯カメラ作動中」「盗難防止警戒中」のステッカーを貼ったところ、それ以降は盗難が起きていない、という事例が載っています。
電気を引き込める畑
近くまで電気が来ている畑なら、電気を引き込めば、ハウスと同じ構成が組めます。自宅から離れた畑なら、映像をスマホで見られるように
インターネットの設備も必要です。工事の中身は、太陽光発電所の防犯にかなり近いものになります。
畑は広いので、全部を見ようとすると大がかりになります。まず押さえるのは、
車が入ってくる入口と農道です。キャベツ1,200個を運ぶトラックは、必ずそこを通ります。
電気を引けない畑は、ソーラーパネルと蓄電池で
電気を引けない畑でも、あきらめる必要はありません。
ソーラーパネルで蓄電池を充電し、そこからAC100Vを出せる業務用の電源があります。
あるメーカーの例では、150Wのソーラーパネルと鉛蓄電池の構成で、出力はAC100V、日が当たらなくても約4日(約99時間)、監視カメラとLTEルーターを動かせるとしています。出力はAC100VのほかにDC12Vなども選べます。
100Vを出せる電源があれば、パトランプ(サイレン)も動かせます。電気のない畑でも、「センサーで光って、音声で警告する」構成を組める可能性があります。
ただし、次の条件があります。
- 日当たり:冬や曇りが続く時期、木や建物の影で、充電が足りなくなることがあります
- 電源の大きさ:動かす機器(サイレン、カメラ、センサーライト、ルーター)の消費電力を足し合わせて、それに見合う容量を選ぶ必要があります
- 電源そのものの盗難:蓄電池やパネルが盗まれないよう、置き場所と固定を考える必要があります
費用は、パネルと蓄電池の数で大きく変わります。現地を見て、動かす機器を決めてから見積もる形になります。
ソーラー式のカメラだけでは、警告できない
カメラにソーラーパネルが付いた、配線の要らないカメラも売られています。手軽ですが、
多くはスマホのアプリで見るためのもので、サイレンとは連動できません。記録と確認には使えますが、それだけでは侵入者に警告できません。
使うなら、
警告の仕組みと組み合わせる前提で考えてください。
機械だけに頼らない
光と音とカメラに加えて、農林水産省や各県が勧めている、お金のかからない対策も組み合わせてください。
- 収穫したものを、畑やハウスに置いて帰らない
- ハウスの出入口は、必ず施錠する
- 「防犯カメラ作動中」「盗難防止警戒中」の看板やステッカーを、通る人から見える位置に出す
- 作業する人には腕章、車にはステッカー。見慣れない人や車が目立つようにする
- 地域で見回る。栃木県真岡市の「いちご守り隊」(市・真岡警察署・JAはが野など)、JAおやまやJAうつのみやの合同パトロール、千葉県銚子市のメロン・スイカの盗難警戒パトロールなど、各地で取り組みがあります
補助金について
畑の防犯カメラに使える補助金は、関東ではほとんどありません。ただ、スマート農業の補助で「圃場モニタリングシステム」が対象になっているもの(JA東京中央会の東京型スマート農業実装化促進事業など)や、市町村独自の制度がある地域もあります。県ごとに、全市町村とJAを調べた結果をまとめています。
被害に遭ったら
まず警察に届けてください。そのうえで農林水産省は、「農作物盗難被害報告書」を作って自治体かJAに出すこと、収入保険に入っている場合はNOSAIに相談することを求めています。詳しくは
農作物の盗難は年間2,200件で横ばい。でも検挙率は43.4%しかないにまとめています。
ご相談はこちら
畑・ビニールハウスの防犯カメラ、センサーライト、サイレンの設置は、
まずはご相談ください。電気があるか、引き込めるか、ソーラーで組むかを、現地を見て一緒に考えます。
あらかじめ金額を出していないのは、畑の広さ、電源の有無、自宅からの距離で費用が大きく変わるからです。現地を見たうえで、根拠のある金額をお出しします。
なお、
遠隔地の場合は現地調査費用をいただくことがあります。費用の目安は、交通費と人件費です。お問い合わせの際に所在地をお知らせいただければ、調査費用が発生するかどうかを先にお伝えします。
株式会社White&Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬
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よくあるご質問
関東の畑では、どんなものが盗まれていますか?
2024年12月に茨城県の八千代町・古河市・結城市でキャベツが合計約3,200個、2025年3月に筑西市でハウスのニラが約325kg、2026年3月に下妻市でミニトマトの苗約2,500株と耕運機、2026年6月に宇都宮市でハウスのトウモロコシ約1,000本が盗まれています。収穫用の包丁を使った跡があるなど、手慣れた犯行が目立ちます。
畑に防犯カメラを付ければ、盗難は防げますか?
カメラだけでは防げないことがあります。カメラの記録やスマホへの通知は、あとから役に立ちますが、侵入者への警告にはなりません。盗まれるのを止めるには、侵入者がいるその場所で、センサーライトの光とサイレンの音で警告することが大事です。
電気のない畑でも、サイレンを付けられますか?
条件しだいで付けられます。ソーラーパネルで蓄電池を充電し、AC100Vを出せる業務用の電源があり、それでパトランプ(サイレン)を動かせます。ただし、日当たり、動かす機器の消費電力に合った容量、蓄電池そのものの盗難対策を考える必要があります。電気を近くまで引き込める場合は、引き込んで組む方法もあります。
ビニールハウスの防犯は、どうすればいいですか?
ハウスは出入口が限られているので、出入口を押さえるのが基本です。電気が来ているハウスなら、出入口にカメラとセンサーライトを付け、センサーと連動したサイレンで警告し、施錠します。電気があれば難しい工事ではありません。
ソーラー式の防犯カメラだけでは足りませんか?
配線の要らないソーラー式のカメラは手軽ですが、多くはスマホのアプリで見るためのもので、サイレンとは連動できません。記録と確認には使えますが、それだけでは侵入者に警告できないため、警告の仕組みと組み合わせて考えてください。
お金をかけずにできる対策はありますか?
収穫したものを畑やハウスに置いて帰らないこと、ハウスの出入口を施錠すること、「防犯カメラ作動中」などの看板やステッカーを見える位置に出すこと、作業者や車に目印を付けること、地域で見回ることです。農林水産省の資料には、いちごハウスでカメラとステッカーを付けたあと盗難が起きていない事例が載っています。
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