畑から盗む人は、車で来ます。キャベツ1,200個も、梨5,000個も、トラクターも、車がなければ運べません。
そして車は、決まった道を通ります。一般の道路から農道に入り、畑の近くまで来て、積み込んで、また同じ農道を戻っていきます。
一軒一軒の畑を守るのは大変です。でも、畑に入るための農道なら、地域でまとめて押さえられます。この記事では、農道をどう守るかを、具体的に書きます。
先に結論です
- 農道は長く、電気も来ていません。要所要所に、ソーラー式のカメラを置くのが現実的です。電気工事が要らないぶん、割安になります
- 要所とは、集落や農地への入口、農道の分かれ道、一般道から農道に入る角、車を止めて積み込める場所の近くです
- ソーラー式のカメラは、携帯の回線(SIM)で映像を送るタイプがおすすめです。SDカードに録画するだけのタイプもありますが、運用には不便です
- ソーラー式のカメラはサイレンとは連動できません。農道のカメラは、地域の「記録の網」と考えます
- 町内会・自治会として、道路を撮るカメラとして付ければ、自治会向けの防犯カメラ補助が使える可能性があります
なぜ、農道なのか
関東の畑で実際に起きた盗難を見ると、共通点があります。
- 茨城県八千代町(2024年12月):キャベツ約1,200個。県警は、車両を使ったグループの犯行の可能性があるとみていました
- 栃木県宇都宮市(2026年6月):ハウスのトウモロコシ約1,000本。農家は「400本の収穫に2時間かかる。複数犯だろう」と話しています
- 茨城県下妻市(2026年3月):ミニトマトの苗約2,500株と、耕運機
どれも、人の手で持って帰れる量ではありません。
車で来て、時間をかけて、積んでいます。
畑の中にカメラを付けても、木や作物で見通しが悪かったり、広すぎて全部を撮れなかったりします。でも、車が通る道は限られています。
畑の中ではなく、畑に入る道を撮る。これが農道を守る考え方です。
どこに置くか。農道の「要所」
- 集落や農地への入口:その地域の畑に入る車が、必ず通る場所です
- 一般道から農道に入る角:どの車が、いつ農道に入ったかが分かります
- 農道の分かれ道:どちらの畑の方へ行ったかが分かります
- 車を止めて積み込める場所の近く:広い路肩や、畑の出入口の前など。積み込みには時間がかかります
すべての要所に置く必要はありません。地域の畑の配置と、車が入ってこられる道の数を見て、「ここを押さえれば、入ってくる車はほぼ写る」という場所を選びます。
ソーラー式のカメラが現実的な理由。電気工事が要らないぶん、割安
農道には、たいてい電気が来ていません。普通のカメラを付けるなら、1か所ずつ電気を引き込む工事が要ります。電源から遠ければ線も長くなり、そのぶん費用がかさみます。
ソーラー式のカメラは、
ソーラーパネルと電池で動くので、電気工事が要りません。そのぶん、割安になります。これが一番のポイントです。
電柱や支柱に取り付けるだけで使えるので、何か所にも置けます。1か所あたりの費用を抑えられるから、要所要所を押さえることができます。
SIMで映像を送るタイプがおすすめ
ソーラー式のカメラには、大きく2つのタイプがあります。
| タイプ | 録画の残り方 | 運用 |
| SIMで映像を送るタイプ | 携帯の回線で映像を送り、スマホで確認できる | 現地に行かずに確認できる。動きがあればスマホに通知が来る。通信料が毎月かかる |
| SDカードに録画するだけのタイプ | カメラの中のSDカードに残る | 見るには、現地へ行ってカードを抜く必要がある。被害にすぐ気づけない。カメラごと盗まれると記録も失う |
SDカードのタイプは、通信料がかからない代わりに、運用がとても不便です。被害に気づいたときには、もう何日も経っているかもしれません。
当社は、SIMで映像を送るタイプをおすすめします。
通信料の目安
SIMで映像を送るタイプは、通信料が毎月かかります。あるメーカーのソーラー式カメラ用のSIMサービスの例(税込)です。
| データ容量 | スマホで見られる時間の目安(1日あたり) | 月額 |
| 約5GB | 0.5〜1時間 | 1,760円 |
| 約10GB | 1.5〜2時間 | 2,288円 |
| 約30GB | 5〜6時間 | 4,400円 |
初期費用は3,300円です。このサービスには
休止の制度があり、休止中は月額330円になります。
収穫期だけ使って、ほかの時期は休止することもできます。狙われるのが収穫期の数週間から数か月なら、通信料をそのぶん抑えられます。
何軒かでまとめて付ければ、通信料も分け合えます。
付けるときの注意
- 携帯の電波が届くか。電波の弱い場所では使えません。付ける前に確認します
- 日当たり。冬や曇りが続く時期、木や建物の影で、電池が足りなくなることがあります
- 通信量。スマホで見る時間や画質で、必要な容量が変わります。容量を超えると通信が止まるプランもあります
- 盗まれない高さと固定。手の届く高さだと、外されたり、向きを変えられたりします
- 車がどう写るか。夜でも車の形や色、通った時刻が分かるように、向きと距離を合わせます
カメラは「記録の網」。警告は別に考える
当社は、盗まれるのを止めるのは「その場の光と音」だと考えています。ソーラー式のカメラは、サイレンとは連動できません。農道のカメラは、侵入者をその場で追い返すものではありません。
それでも、農道のカメラには大きな意味があります。
- 入ってきた車の記録が残る。何時に、どんな車が、どちらから来たか。農作物の盗難の検挙率は43.4%しかありません。手がかりがあるかないかは、大きな違いです
- 何か所もの記録をつなげられる。入口と分かれ道の両方に写っていれば、どの畑に向かったかまで分かります
- 「この地域は記録されている」と伝わる。「防犯カメラ作動中」の看板を、農道の入口に出します。下見に来た相手に、ここは面倒だと思わせます
被害の大きい畑(果樹園、ハウスなど)には、農道の記録の網に加えて、その畑で
光と音で警告する仕組みを組み合わせます。電気がある、または引き込める畑なら、サイレンまで組めます。詳しくは
畑とビニールハウスの盗難に書いています。
町内会・自治会で付ける。補助金が使える可能性
農道のカメラは、1軒の農家ではなく、
その道を使う何軒かの農家、生産部会、町内会・自治会で付けるものです。費用を分け合えるので、1軒あたりの負担は小さくなります。
しかも、農道の入口や一般道との角を撮るカメラは、
道路を撮るカメラです。関東の約100の市区町村にある自治会向けの防犯カメラ補助は、「道路などの公共空間を撮ること」が条件になっていることが多く、農道のカメラはその条件に合う可能性があります。
ただし、ソーラー式のカメラが補助の対象になるか、機器の要件(録画の保存日数、設置方法など)に合うかは、市区町村によって違います。申請の前に、担当の窓口に確認してください。進め方は、
小規模農家の防犯は、1軒で抱えないに書いています。
ご相談はこちら
農道や集落の入口のカメラは、
まずはご相談ください。地域の畑の配置と、車が入ってこられる道を見て、どこを押さえればいいかを一緒に考えます。町内会・自治会で補助金を使う場合は、要件に合う構成と、申請に使える形の見積りをお出しします。
なお、
遠隔地の場合は現地調査費用をいただくことがあります。費用の目安は、交通費と人件費です。お問い合わせの際に所在地をお知らせいただければ、調査費用が発生するかどうかを先にお伝えします。
株式会社White&Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬
お問い合せフォームはこちら
農業の防犯の記事
農業の防犯カメラ補助金(県別・全市町村とJAを調査):茨城県・
栃木県・
群馬県・
千葉県・
埼玉県・
東京都・
神奈川県
よくあるご質問
なぜ畑ではなく、農道を守るのですか?
畑の盗難は、まとまった量を車で運び出す犯行が多く、車は決まった道を通るからです。広い畑や見通しの悪い果樹園の中を撮るより、畑に入るための農道を撮るほうが、入ってくる車を確実に記録できます。何軒かの農家で、まとめて押さえることもできます。
農道のどこにカメラを置けばいいですか?
集落や農地への入口、一般道から農道に入る角、農道の分かれ道、車を止めて積み込める場所の近くです。すべてに置く必要はなく、地域の畑の配置と、車が入ってこられる道の数を見て、入ってくる車がほぼ写る場所を選びます。
電気のない農道でも、カメラは付けられますか?
付けられます。ソーラーパネルと電池で動くソーラー式のカメラなら、電気工事が要らず、そのぶん割安になります。携帯の回線(SIM)で映像を送るタイプなら、現地に行かずにスマホで確認できます。ただし、携帯の電波が届くこと、日当たりがあることが条件です。
SDカードに録画するだけのカメラではだめですか?
使えますが、運用は不便です。映像を見るには現地へ行ってカードを抜く必要があり、被害にすぐ気づけません。カメラごと盗まれたり壊されたりすると、記録も一緒に失います。当社は、SIMで映像を送るタイプをおすすめしています。
ソーラー式のカメラの通信料は、いくらかかりますか?
あるメーカーのソーラー式カメラ用のSIMサービスでは、税込で月額1,760円(約5GB)、2,288円(約10GB)、4,400円(約30GB)、初期費用3,300円です。休止の制度があり、休止中は月額330円なので、収穫期だけ使うこともできます。何軒かでまとめて付ければ、通信料も分け合えます。
農道のカメラに、補助金は使えますか?
町内会・自治会として、道路を撮るカメラとして付ければ、自治会向けの防犯カメラ補助が使える可能性があります。関東では約100の市区町村にあります。ただし、ソーラー式のカメラが対象になるか、機器の要件に合うかは市区町村によって違うため、申請の前に担当窓口に確認してください。
この記事の出典