農家の倉庫が狙われている。米、農機具、資材。米だけでも関東で4か月に14トン

農家の倉庫には、いろいろなものが置いてあります。収穫した米や野菜、トラクターなどの農機具、肥料などの資材、燃料。どれも、まとまって置いてあり、車があれば持ち出せるものです。 ここ数年、ニュースで目立ったのは米でした。2025年の春、関東で米の盗難が相次ぎ、千葉県印西市では一晩で1,710kgが持ち去られています。 ただ、米は、倉庫で盗まれるものの一例にすぎません。この記事では、農家の倉庫で何が盗まれているのかを公表資料と報道で整理し、倉庫をどう守るかを書きます。

先に結論です

  • 倉庫で盗まれるのは、米だけではありません。農機具、収穫物、資材も狙われています
  • トラクターなどの盗難は、農地以外が74%。茨城県では、自宅の敷地内(倉庫・作業場を含む)での被害が最も多いとされています
  • 米は、2025年1月から4月だけで、茨城・千葉・栃木の3県で約14トンが盗まれました
  • 鍵がかかっていない倉庫が狙われています。鍵やシャッターを壊された例もあります
  • 畑と違って、倉庫は出入口を押さえれば守れます。電気も来ています。対策は立てやすいと言えます

倉庫で盗まれているのは、米だけではない

公表資料と報道で分かっていることを、盗まれるものごとに並べます。
盗まれるもの分かっていること
米・玄米2025年1〜4月に、茨城・千葉・栃木の3県で約14トン(このあと詳しく書きます)
トラクターなどの農機具過去5年間の盗難のうち、農地で盗まれたのは26%。残りの74%は農地以外(農林水産省)。茨城県では、自宅の敷地内(倉庫・作業場を含む)での被害が最も多い。群馬県は、ハウスや資材置き場の中からも盗まれていると注意を呼びかけています
収穫物保管庫の鍵を壊されて侵入された例、収穫用のコンテナごと持ち去られた例があります(茨城県警察)
燃料・肥料などの資材栃木県が、盗難防止のために燃油や肥料など資材の管理を徹底するよう呼びかけています
倉庫は、農家の財産がまとまって置いてある場所です。米も、農機も、資材も、一か所にあるから狙われます。 ここからは、ここ数年でいちばん目立った米を例に、倉庫で何が起きているかを詳しく見ていきます。

例:米。2025年、関東で4か月に約14トン

2025年の1月から4月にかけて、関東の各県警が新聞社の取材に答えた米の盗難の件数です。
県期間件数盗まれた量
茨城県1月1日〜4月27日14件約4,470kg
千葉県1月〜4月15件(暫定値)約3.5トン
栃木県1月〜4月11件(前年同期より7件増)約6,500kg
4か月で、3県あわせて約14トンです。 茨城県では、14件のうち3件が3月、8件が4月でした。前年の4月はゼロです。そして4月の8件のうち6件が、筑西市の同じ地域に集中していました。警察は、同じグループが繰り返し盗んでいる可能性があるとみていました。狙われたのは主に農家の倉庫で、鍵がかかっていなかったものもあります。 千葉県では、印西市で一晩に1,710kgが盗まれています。30kgの袋なら57袋分です。人が手で運べる量ではありません。車を横付けして、まとめて積み込んでいます。 栃木県では、農家のほか、直売所からも盗まれています。

米の値段と、盗難の関係

この時期に盗難が増えたのは、米の値段が上がっていたからだと考えられています。
  • 2024年夏:店頭から米が消え、「令和のコメ騒動」と呼ばれました
  • 2025年4月:スーパーの平均価格が5kgあたり4,220円。16週連続の値上がりで、前年同期(2,088円)の約2倍になりました(全国約1,000店の調査)
  • 2025年11月:5kgあたり4,444円。約6,000店の調査で、調査開始以来の最高値でした
  • 2026年10月:5kgあたり2,821円。新米が出回り、10週連続で値下がりしています(全国約1,000店の調査)
※約1,000店の調査と約6,000店の調査は別の集計なので、数字を直接は比べられません。 値段だけを見れば、2026年の秋は落ち着いています。

値段が下がっても、狙われなくなるわけではない

2026年9月、新潟県妙高市で、新米のコシヒカリ210kgが納屋から盗まれました。新潟県警によると、この年に県内で確認された、新米の大量盗難の最初の1件でした。 値段が落ち着いても、米が「その場でまとまって置いてあって、袋のまま持っていける」ことは変わりません。30kgの袋は、そのまま流通する形です。盗む側から見れば、運びやすく、扱いやすい品物です。

米は、どこから盗まれているか

報道された米の盗難の事例を、盗まれた場所ごとに並べます。
時期・場所盗まれた場所量手口・状況
2024年9月 奈良県山添村倉庫の中の冷蔵庫30kg袋40袋(1.2トン)シャッターに穴をあけ、鍵を壊して侵入
2024年9月 京都府亀岡市開いていた倉庫出荷用の30kg袋5袋出荷を待っていた袋
2024年9月 滋賀県高島市倉庫の軒下240kg建物の外に置いていた
2024年9月 新潟県上越地方作業小屋玄米90kg朝、農家が気づいた
2025年4月 茨城県筑西市ほか農家の倉庫8か所鍵がかかっていない倉庫も
2025年春 千葉県印西市―一晩で1,710kg―
2026年9月 新潟県妙高市納屋新米210kg9月13日から14日にかけて
共通しているのは、次の3つです。
  1. 倉庫・納屋・作業小屋の中か、その軒下に置いてあった
  2. 30kgの袋にまとまっていた。出荷を待っていた袋も狙われています
  3. 鍵がかかっていないか、鍵ごと壊された

畑は広い。倉庫は出入口を押さえればいい

米は畑ではなく倉庫で盗まれる。野菜・果物は畑で盗まれ(ほ場48%)広くて守りにくいが、米は袋に詰めたあと倉庫で盗まれるため、守る場所を1か所に絞れる。守るのは倉庫の出入口と車をつける場所

野菜や果物は畑で盗まれます。米は、袋に詰めて倉庫に置いたあとに盗まれます。

農林水産省が平成30年にまとめた調査では、農作物の盗難の現場は、ほ場(畑・田んぼ)が48%でした。倉庫は2%、作業場は3%です。農作物全体で見れば、盗難のほとんどは畑で起きています。 米は、ここが違います。田んぼに実っている稲を刈って持っていく人はいません。盗まれるのは、乾燥・調製が終わって袋に詰めたあとです。つまり、倉庫や作業小屋に置いてからです。農機具も同じで、74%は農地以外で盗まれています。 これは、守る側にとっては悪い話ではありません。
  • 畑や果樹園は広く、全部を見張るのは難しい
  • 倉庫は、置いてある場所が決まっている。守るのは倉庫の出入口と、そこに車をつける場所です
太陽光発電所や果樹園のように、敷地の端から端まで線を引く必要はありません。守る範囲を絞れます。

まず、お金をかけずにやること

農林水産省、茨城県、茨城県警察、埼玉県、栃木県、新潟県妙高市と妙高警察署が呼びかけている対策のうち、費用がほとんどかからないものです。
  • 倉庫・納屋・保管庫は、必ず鍵をかける。少しの時間でも開けたままにしない
  • 軒下や建物の外に、米袋や資材を置かない。出荷を待つ袋も、鍵のかかる中へ
  • 農機は、エンジンキーを抜いて自宅で保管する(ただし、キーを抜いていても盗まれた例は多くあります)
  • 収穫したものを、田んぼや作業場に置いて帰らない
  • 「防犯カメラ作動中」「盗難注意」「立入禁止」の看板やステッカーを出す
  • 不審な人や車を見たら、すぐに110番する
2025年の茨城の事例では、鍵のかかっていない倉庫が狙われていました。鍵をかけるだけで、狙われる候補から外れる倉庫はあるはずです。

防犯カメラとサイレンを付けるなら。ポイントは出入口

上に挙げた機関は、どこも防犯カメラとセンサーライトの設置を勧めています。 倉庫の場合、ポイントは出入口です。米も、農機も、資材も、運び出すには必ず出入口を通ります。シャッターでも扉でも、入口は限られています。出入口に、カメラとサイレンを付ける。これが倉庫の防犯の基本になります。

太陽光発電所の構成が、そのまま使える

株式会社White&Greenが太陽光発電所で組んでいる構成は、倉庫にもそのまま流用できます。
  • センサー:出入口と、車をつける場所に人や車が近づいたら反応します
  • センサーライト:反応と同時に、出入口を照らします
  • パトランプ(サイレン):センサーと連動して光り、「警察に通報します」などの音声を流します。「カメラ監視中」「警備中」といった表示も出せます。周囲に住宅があれば、音が通報につながります
  • カメラ:出入口と、車をつける場所の両方を撮ります。1トンを超える米も、トラクターも、車がないと運べません。車が写るかどうかが大事です
当社の実感として、犯行の抑止にいちばん効くのは光と音です。カメラは記録のための装置です。太陽光発電所では、下見に来た窃盗団に対してセンサーが反応し、パトランプの音声に気づいた近隣住民が警察に通報して、被害ゼロで終わった現場があります。下見の段階で「ここは面倒だ」と思わせられるかどうかが、最初の分かれ目です。 太陽光発電所での組み方は、太陽光発電所に、実際に何を付けているか。光と音とパトランプの組み立て方に詳しく書いています。

発電所より、倉庫のほうが組みやすい

違いは、守る範囲の広さです。太陽光発電所は敷地が広く、侵入されうる場所があちこちにあります。倉庫は、出入口という決まった場所を押さえれば済みます。そして、倉庫にはたいてい電気が来ています。同じ考え方の構成を、発電所より小さな規模で組めます。

カメラは手の届かない高さに

手の届く高さに付けると、下見の段階で外されたり、向きを変えられたりします。高い位置に、防水ボックスとセットで付けます。

録画はどのくらい残すか

2024年の上越地方の事例のように、朝になって気づくこともあれば、しばらく倉庫を開けずに気づくのが遅れることもあります。目安として、カメラ4台・2TBのハードディスクなら、1か月程度は録画できます。

倉庫は、畑より付けやすい

株式会社White&Greenは、倉庫の防犯カメラ工事を数多く手がけてきました(施工実績はこちら)。 畑や果樹園、太陽光発電所と比べて、倉庫には大きな利点があります。電気が来ていることです。 太陽光発電所では、電源を取れる場所(キュービクルやパワコンのそばのコンセント)からカメラまで、長いときは100m以上線を引くことがあります。畑や果樹園では、そもそも近くに電源がないこともあります。 農家の倉庫には、たいてい電気が来ています。電源のすぐ近くにカメラとライトを付けられるので、工事は比較的シンプルです。

費用の目安は、35万〜50万円程度

電気が来ている倉庫で、出入口にカメラ・センサーライト・パトランプ(サイレン)を付ける構成なら、設置費用の目安は35万〜50万円程度です。 パトランプを付けずにカメラだけを設置するなら、費用はだいぶ下がります。どちらも、台数と電源からの距離で変わります。ただし、これらは目安です。防犯カメラの費用は、台数よりも、録画機までどれだけ線を引くかで変わります。録画機を倉庫の中に置くなら配線は短く済みます。母屋で映像を見たい、母屋で音を鳴らしたいという場合は、倉庫から母屋までの距離のぶん配線が長くなります。 費用の考え方は、太陽光発電所の防犯カメラ、費用は何で決まるのかに詳しく書いています。発電所の記事ですが、考え方は倉庫でも同じです。

もっと費用を抑えたいなら、ソーラー式のSIMカメラ

電源や配線の工事を省きたい場合は、ソーラーパネルで動き、携帯電話の回線(SIM)で映像を送るカメラという選択肢もあります。電源工事が要らないので、費用を安くできる可能性があります。電気の来ていない畑や、母屋から離れた小屋にも付けられます。 ただし、次の点は知っておいてください。
  • パトランプとは連動できません。光と音で追い返すことはできず、記録とスマートフォンでの確認が中心になります
  • 通信料が毎月かかります。通信量の上限もあります
光と音まで組むか、カメラだけにするか、ソーラー式のSIMカメラにするか。どれが合うかは、守りたい場所と、近くに人の耳があるかどうかで変わります。

被害に遭ったら

まず警察に届けてください。そのうえで農林水産省は、「農作物盗難被害報告書」を作って自治体かJAに出すこと、収入保険に入っている場合はNOSAIに相談することを求めています。詳しくは農作物の盗難は年間2,200件で横ばい。でも検挙率は43.4%しかないにまとめています。 一度狙われた場所は、また狙われる可能性があります。2025年の筑西市のように、同じ地域で続けて被害が出ることもあります。近所で被害があったと聞いたら、自分の倉庫も次の候補だと考えてください。

ご相談はこちら

農家の倉庫・納屋・作業小屋・農機具の格納庫の防犯カメラ設置は、まずはご相談ください。現地を調査したうえで、お見積りをお出しします。 上に書いた35万〜50万円は、電気が来ている倉庫の出入口を守る、いちばんシンプルな構成の目安です。倉庫の場所、母屋までの距離、守りたい範囲で金額は変わります。「◯台でいくら」と先に出しておいて後から追加、ということにしたくないので、最終的な金額は現地を見たうえで、根拠のある形でお出しします。 なお、遠隔地の場合は現地調査費用をいただくことがあります。費用の目安は、交通費と人件費です。お問い合わせの際に所在地をお知らせいただければ、調査費用が発生するかどうかを先にお伝えします。 株式会社White&Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬 お問い合せフォームはこちら

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よくあるご質問

農家の倉庫では、何が盗まれていますか?

米や玄米のほか、トラクターなどの農機具、収穫物、燃料や肥料などの資材です。トラクターなどの盗難は過去5年間で74%が農地以外で起きており、茨城県では自宅の敷地内(倉庫・作業場を含む)での被害が最も多いとされています。米は、ここ数年ニュースで目立った一例です。

米はどこから盗まれることが多いですか?

倉庫、納屋、作業小屋、そしてその軒下です。報道された事例では、30kgの袋にまとめて保管していたものや、出荷を待っていた袋が持ち去られています。鍵がかかっていない倉庫が狙われたほか、シャッターに穴をあけて鍵を壊した例もあります。

関東では米の盗難がどのくらい起きましたか?

2025年1月から4月にかけて、茨城県で14件・約4,470kg、千葉県で15件(暫定値)・約3.5トン、栃木県で11件・約6,500kgの被害がありました。千葉県印西市では一晩で1,710kgが盗まれています。

米の盗難は秋だけですか?

秋だけではありません。収穫後の秋に増えるのが一般的ですが、2025年の茨城県では3月に3件、4月に8件と、田植えの時期に被害が集中しました。前年の4月はゼロでした。倉庫に米が置いてある間は、時期を問わず狙われる可能性があります。

米の値段が下がれば、盗難はなくなりますか?

なくなるとは言えません。2026年10月にはスーパーの平均価格が5kgあたり2,821円まで下がりましたが、同じ年の9月には新潟県妙高市で新米のコシヒカリ210kgが納屋から盗まれています。袋のまま運べて扱いやすいという点は、値段に関係なく変わりません。

お金をかけずにできる対策はありますか?

倉庫・納屋・保管庫に必ず鍵をかけること、軒下や建物の外に袋を置かないこと、収穫したものを田んぼや作業場に置いて帰らないこと、「防犯カメラ作動中」や「盗難注意」の看板を出すこと、不審な人や車を見たらすぐに110番することです。農林水産省や各県が呼びかけています。

防犯カメラはどこに付ければいいですか?

ポイントは出入口です。米も農機も資材も、運び出すには必ず出入口を通るため、出入口にカメラとサイレン(パトランプ)を付けます。カメラは、出入口と車をつける場所の両方が写る位置にします。大量の米やトラクターは車がないと運べないため、車が写るかどうかが重要です。手の届く高さだと下見の段階で外されることがあるため、高い位置に付けます。抑止にはセンサーライトやパトランプの光と音を組み合わせます。

倉庫の防犯カメラの費用はいくらですか?

電気が来ている倉庫で、出入口にカメラ・センサーライト・パトランプ(サイレン)を付けるシンプルな構成なら、設置費用の目安は35万〜50万円程度です。カメラだけの設置なら、費用はだいぶ下がります。倉庫の場所や電源からの距離、守りたい範囲によって変わるため、最終的な金額は現地調査のうえでお出しします。

倉庫に防犯カメラを付ける工事は大変ですか?

畑や太陽光発電所と比べると、比較的シンプルです。農家の倉庫にはたいてい電気が来ているため、電源のすぐ近くにカメラとライトを付けられます。費用は、録画機を倉庫の中に置くか、母屋で映像を見たり音を鳴らしたりするかで、配線の距離が変わります。

電気の来ていない場所にも防犯カメラは付けられますか?

付けられます。ソーラーパネルで動き、携帯電話の回線(SIM)で映像を送るカメラなら、電源工事が要らないため、費用を安くできる可能性があります。ただしパトランプとは連動できず、通信料が毎月かかります。

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