太陽光の盗難件数ランキング。上位4県で約8割、令和7年に初めて減った

「うちの県は何位なんだろう」と思って調べ始めると、すぐに壁に当たります。 太陽光発電所の盗難だけを都道府県別に並べた公的なランキングは、存在しません。 警察庁が公表しているのは金属盗全体の件数で、太陽光発電施設に絞った数字は管区単位までです。県別の太陽光の数字は、各県警が個別に出しているものを拾うしかありません。 それでも、どこが危ないかははっきりしています。この記事では、公表されている数字を年度と出典つきで並べ直します。

まず全国。令和7年に初めて減った

金属盗全体の認知件数と被害額です。
  • 令和2年:5,478件・約25億円
  • 令和5年:16,276件(うち太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗 5,361件=32.9%)
  • 令和6年:20,701件・約140億円(太陽光が約3分の1)
  • 令和7年:15,712件(前年比4,989件、24.1%減)
5年で約3.8倍に増えたあと、令和7年に初めて減りました。
金属盗の認知件数の推移。令和2年5,478件・約25億円、令和5年16,276件、令和6年20,701件・約140億円、令和7年15,712件で前年比24.1パーセント減

金属盗の認知件数と被害額(全国)。令和7年は前年比24.1%減。出典:警察庁。

減った理由について、警察庁は「令和7年の犯罪情勢」でこう書いています。
太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗の被害が減少したことが大きな影響を与えたと考えられる。
つまり、増やしたのも太陽光、減らしたのも太陽光です。金属盗という統計は、ほぼ太陽光発電所の盗難の統計になっていました。 被害額の大きさも押さえておいてください。令和6年の金属盗の被害額約140億円は、窃盗犯全体の被害額(約789.3億円)の約2割を占めています。

県別ランキング(令和5年・金属盗全体)

金属盗の認知件数 都道府県別ランキング(令和5年・上位5県)。1位茨城県2,889件、2位千葉県1,684件、3位栃木県1,464件、4位群馬県1,437件、5位埼玉県1,172件。上位5県の合計8,646件は全国16,276件の約53パーセント

令和5年の金属盗 認知件数(上位5県)。出典:警察庁「金属盗対策に関する検討会」資料。

県別の数字がそろっているのは、警察庁の「金属盗対策に関する検討会」資料に載っている令和5年の上位5県です。
  1. 茨城県 2,889件
  2. 千葉県 1,684件
  3. 栃木県 1,464件
  4. 群馬県 1,437件
  5. 埼玉県 1,172件
上位5県の合計は8,646件。全国16,276件の約53%です。47都道府県のうち5県で、全国の半分を超えています。 参議院の調査室も、金属盗の認知件数の過半数は茨城・千葉・栃木・埼玉・群馬の5県が占めるとしています。

太陽光に絞ると、もっと偏る

金属盗全体ではなく、太陽光発電施設からのケーブル窃盗だけを見ると、集中はさらに極端になります。 参議院の調査室の資料には、こうあります。
太陽光発電施設からのケーブル窃盗は、茨城、栃木、群馬、千葉の4県で約8割
4県で8割です。埼玉が外れて、北関東3県+千葉になります。 管区別の数字でも同じことが確認できます(警察庁・実務統計)。
管区令和5年(全国5,361件)令和6年6月末(全国4,161件)
関東4,922件3,737件
東北222件64件
中部164件293件
近畿30件42件
中国四国11件12件
九州9件11件
北海道1件1件
警視庁2件1件
関東の割合は令和5年で91.8%、令和6年6月末で89.8%です。 この表で注目してほしいのは、中部です。164件から293件へ、半年で前年の年間件数を超えています。東北は222件から64件に減っているのに、中部だけが増えている。静岡と愛知で何が起きたかは、静岡・愛知で何が起きているかに書きました。

いちばん詳しい県は茨城

県別の太陽光の数字を継続して公表しているのは、茨城県警です。金属盗全体と、そのうち太陽光発電施設の分を分けて出しています。
年金属盗(全体)うち太陽光発電施設
令和4年1,632件631件
令和5年2,889件1,675件
令和6年3,628件2,416件
令和7年(10月末まで)1,509件960件
令和7年は前年同期比で約54%減。それでも約64%が太陽光発電施設です。
茨城県の金属盗と太陽光発電施設の件数推移。令和4年1,632件のうち太陽光631件、令和5年2,889件のうち1,675件、令和6年3,628件のうち2,416件、令和7年は10月末までで1,509件のうち960件

茨城県の金属盗と、そのうち太陽光発電施設の件数。出典:茨城県警察本部生活安全総務課(暫定値)。

地区別に見ると、県内でも偏っています(令和7年10月末・太陽光)。
  • 県西 362件(古河市など)
  • 県南 318件(かすみがうら市など)
  • 県央 146件(茨城町など)
  • 鹿行 86件(鹿嶋市など)
  • 県北 48件(常陸大宮市など)
県西と県南で約7割です。どちらも埼玉・千葉・栃木と接している側です。

犯人側の数字(令和6年・太陽光のケーブル窃盗)

参議院調査室の資料から、摘発された側のデータです。
  • 検挙人員:147人
  • うち外国人:110人(約7割)。そのうち不法滞在が89人(約8割)
  • 国籍の内訳:カンボジア74人、タイ19人、ベトナム8人、ラオス5人、スリランカ4人
  • ケーブル窃盗に使われた犯行用具の84%がケーブルカッター等
  • 盗品買受けで検挙された事業者:令和6年1月〜令和7年5月で17事業者
組織的で、移動する集団だということが数字に出ています。地元の人間が思いつきでやっている犯行ではありません。だから県境をまたいで動き、ある県で対策が進むと別の県に移ります。

このランキングの、正しい読み方

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。 件数が多い県が危ない、件数が少ない県は安全、ではありません。理由は3つあります。

1. 発電所の数が違う

茨城や千葉は、そもそも野立ての太陽光発電所の数が多い県です。件数が多いのは当然の面があります。比べるべきは件数ではなく、1か所あたりの確率ですが、その数字は公表されていません。

2. 件数が少ない県は「まだ来ていない」だけのことがある

神奈川県は上位5県に入っていません。しかし令和6年7月末時点で県内の太陽光発電施設の送電ケーブル盗難は73件、前年同期比で約560%増でした。件数は小さくても、増え方は異常です。 神奈川県の記事に書いたとおり、県営の発電所が2回やられ、2回目は一晩で約2,700m・被害約3,000万円です。

3. 減った年の翌年に、また来る

令和7年は全国で24.1%減りました。しかし中部管区は増えています。警察庁の検討会でも「警戒が手薄な地方に流動している」という説明が出ています。 順位は、対策が進んだ県から下がっていきます。そして、下がった分がどこかの県に移っています。自分の県の順位より、隣の県で何が起きたかを見るほうが役に立ちます。

そして、減っても保険は戻らない

もう一つ、件数だけ見ていると見落とすことがあります。 太陽光発電協会(JPEA)は2025年11月の取材で、こう述べています。
被害が減っても、”保険”が以前の状態に戻らないという大きな問題が残っています。
件数は減りましたが、新規契約では盗難が不担保になり、免責は100万円に上がり、売電補償は30日以内に限定されています。太陽光の盗難、保険は何回目まで出るのかにまとめました。 被害額の規模も変わっていません。特別高圧設備の場合、盗難による売電損失は平均4,220万円、最大1億円超とされています。

県別の記事

  • 茨城県:5年連続で全国ワースト。被害の6割以上が太陽光発電所
  • 千葉県:令和6年は2,001件で全国2位。被害者の約7割が太陽光
  • 栃木県:全国3位。買い取りを規制する条例がない
  • 群馬県:1年で8倍の1,102件。県内の業者が他県の盗品も買い取っていた
  • 埼玉県:埋設・鉄管保護でも3年で4回やられた市営発電所
  • 神奈川県:県営発電所が2回。一晩で2,700m、被害3,000万円
  • 静岡・愛知:1グループが10県で78件、被害1億1,000万円
  • 再被害:一度やられた発電所は、また狙われる

順位に関係なく、やることは同じ

全国1位の県でも、件数ゼロの県でも、発電所の守り方は変わりません。 窃盗団は必ず下見に来ます。茨城県警察も「犯人は事前に下見をし、防犯設備の設置状況を確認することがある」としています。そして実際にカメラに映っていた侵入では、深夜に黒ずくめの集団が匍匐前進で近づき、正面の道路を避けて横の畑から入ってきました。 彼らは見られることを極端に嫌がります。だから株式会社White&Greenは、光と音で組みます。センサーが反応した瞬間に発電所を照らし、パトランプが「警察に通報します」と爆音で流す。 実際に、下見の段階でセンサーが反応し、音に気づいた近隣住民が警察に通報して被害ゼロで終わった現場があります。翌朝7時に、オーナーからお礼の電話が入りました。 太陽光発電所に、実際に何を付けているか。光と音とパトランプの組み立て方 すでに被害に遭われた方は、太陽光発電所が盗難に遭った直後にやることをご覧ください。最初にやるのは警察への通報ではなく、感電の確認です。

出典

この記事で使った数字と引用の出どころです。いずれも公表資料で、どなたでも確認できます。

この記事の出典

ご相談はこちら

太陽光発電所の防犯カメラ設置は、まずはご相談ください。現地を調査したうえで、お見積りをお出しします。 あらかじめ金額を出していないのは、発電所は敷地の形と配線の距離で費用が大きく変わるからです。「◯台でいくら」と先に出しておいて後から追加、ということにしたくありません。現地を見たうえで、根拠のある金額をお出しします。 なお、遠隔地の場合は現地調査費用をいただくことがあります。費用の目安は、交通費と人件費です。お問い合わせの際に発電所の所在地をお知らせいただければ、調査費用が発生するかどうかを先にお伝えします。 株式会社White&Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬 お問い合せフォームはこちら

よくあるご質問

太陽光発電所の盗難件数が多い都道府県はどこですか?

太陽光発電施設からのケーブル窃盗は、参議院調査室の資料によると茨城、栃木、群馬、千葉の4県で約8割を占めます。金属盗全体では、令和5年の警察庁資料で茨城2,889件、千葉1,684件、栃木1,464件、群馬1,437件、埼玉1,172件の順で、この上位5県の合計8,646件は全国16,276件の約53パーセントにあたります。

太陽光発電所の盗難だけの都道府県別ランキングはありますか?

公的な全国ランキングは存在しません。警察庁が公表しているのは金属盗全体の件数で、太陽光発電施設に絞った数字は管区単位までです。県別の太陽光の数字は各県警が個別に公表しているものを拾う形になります。継続して公表しているのは茨城県警などに限られます。

金属盗の全国の件数は何件ですか?

令和2年は5,478件で被害額は約25億円、令和5年は16,276件、令和6年は20,701件で被害額は約140億円、令和7年は15,712件です。令和7年は前年より4,989件、24.1パーセント減少しました。令和6年の被害額140億円は、窃盗犯全体の被害額約789.3億円の約2割にあたります。

令和7年に盗難が減ったのはなぜですか?

警察庁は「令和7年の犯罪情勢」で、金属盗の減少について「太陽光発電施設からの金属ケーブル窃盗の被害が減少したことが大きな影響を与えたと考えられる」としています。金属盗という統計は、ほぼ太陽光発電所の盗難の統計になっていました。

関東以外でも太陽光の盗難は起きていますか?

起きています。警察庁の管区別統計では、令和5年の太陽光発電施設からのケーブル窃盗5,361件のうち関東が4,922件で91.8パーセントを占めますが、中部管区は令和5年の164件から令和6年6月末時点で293件に増えています。東北が222件から64件に減る一方で中部だけが増えており、警戒が手薄な地方に移っていると説明されています。

茨城県の太陽光発電施設の盗難件数の推移は?

茨城県警の公表値では、金属盗全体とそのうち太陽光発電施設の件数は、令和4年が1,632件中631件、令和5年が2,889件中1,675件、令和6年が3,628件中2,416件、令和7年は10月末までで1,509件中960件です。令和7年は前年同期比で約54パーセント減ですが、それでも約64パーセントが太陽光発電施設です。地区別では県西362件、県南318件で、この2地区で約7割を占めます。

件数が少ない県なら安全ですか?

安全とは言えません。神奈川県は上位5県に入っていませんが、令和6年7月末時点で県内の太陽光発電施設の送電ケーブル盗難が73件、前年同期比で約560パーセント増でした。件数が小さくても増え方が急な県があります。また窃盗団は県境をまたいで移動するため、ある県で対策が進むと別の県に移ります。自分の県の順位より、隣の県で何が起きたかを見るほうが実用的です。

摘発された犯人はどのような人たちですか?

参議院調査室の資料によると、令和6年の太陽光発電施設からのケーブル窃盗の検挙人員は147人で、うち外国人が110人、約7割です。そのうち不法滞在が89人、約8割を占めます。国籍の内訳はカンボジア74人、タイ19人、ベトナム8人、ラオス5人、スリランカ4人です。ケーブル窃盗に使われた犯行用具の84パーセントがケーブルカッター等でした。組織的で移動する集団であることが数字に表れています。