「1万円くらいで売っている簡易型のカメラ、あれじゃ駄目ですか」
よく聞かれます。工事をしている会社には、聞きにくい質問。
正直に書きます。十分な場合、あります。
全部のご家庭に工事が必要なわけではありません。ただし、向いていない使い方も、はっきりしている。その線引きを書きます。

1台なら簡易型で十分です。複数台をまとめて管理するなら、有線で配線して録画機にまとめるほうが向いています。
先に結論です
- 玄関に1台、様子が分かればいい。この使い方なら、簡易型の防犯カメラで十分だと考えています
- 簡易型はスマホアプリで見ることが前提です。パソコン用の公式アプリが用意されていない機種が多くあります
- そのため、大きい画面で見づらく、複数台を同時に確認しにくいという弱点があります
- 録画はカメラ本体のmicroSDカードか、有料のクラウドです。カメラごとに別々に残るため、まとめて扱う録画機がありません
- Wi-Fi接続のため、映像が途切れることがあります。肝心なところが映っていない、ということが起こり得ます
- 玄関のカメラはピンポンが鳴った「いま」確認する場面が多く、スマホを取り出す方式はそこが不便です。テレビの横にモニターを置いて使われている方もいます
- すでに具体的な被害や問題が起きている場合は、ご予算が許すなら業者に依頼されるのが解決への近道です
1台で足りるなら、それでいい
玄関の前に1台。誰が来たか分かればいい。荷物が届いたか見たい。たまにスマホで確認できればいい。
この使い方なら、十分。
工事も不要。電源さえあれば、ご自分で付けられます。費用も1万円前後。
防犯カメラ屋がこう書くのは変に思われるかもしれません。でも、
必要のない工事を勧めても仕方がない。1台で足りる方に4台を売っても、お互いに何もいいことがない。
向いているのは、こういう方です。
・玄関まわりだけ分かればいい
・いまのところ、何も起きていない
・とりあえず様子を見たい
・自分で設置できる
ただし、ひとつ条件。
「予防と記録のために置いておく」という使い方であれば、ということ。
ピンポンが鳴ったその場で、すぐ誰が来たか確認したい。そうなると、話が変わります。これは後ろの章で。
簡易型は、スマホで見るための機械
ここを誤解されている方が多い印象。
簡易型の防犯カメラは、
スマホアプリで見ることを前提に作られています。
たとえばTP-LinkのTapo。
公式のパソコン用アプリがありません。パソコンで見ようとすると、Androidのエミュレータを使う、RTSPという機能を有効にして別のソフトで受ける、スマホの画面をパソコンに映す。どれもメーカーが正式に案内している使い方ではない。クラウド録画をブラウザで見る画面はありますが、
有料契約が前提。
SwitchBotの見守りカメラも、公式ページに書かれている見方は
スマホアプリとAlexa(Echo Show)。
これが地味に効いてきます。弱点は2つ。
ひとつは、
大きい画面で見られないこと。スマホの画面で細かいところまで確かめるのは、楽ではない。
もうひとつは、
複数台を同時に確認・管理しにくいこと。パソコンの画面に全台を並べて、という使い方ができない。
スマホで、ときどき確認する。その用途には、よくできた機械。逆に言えば、それ以外の使い方は想定されていない。
録画が、カメラごとにバラバラ
複数台にしたときに効いてくるところ、もうひとつ。
簡易型の録画先は、
カメラ本体に挿したmicroSDカードか、
有料のクラウド。
ということは、
カメラを3台付ければ、記録は3か所に分かれます。
アプリで4分割して同時に見られる機種はあります。ただ、
見るのと、残すのは別の話。あとから「先週の火曜の夜」をさかのぼろうとすると、カメラごとに探すことに。映像を取り出すのも、カメラごと。
有線のカメラなら、
録画機1台にまとまります。時間を指定すれば、全台ぶんが同じ時間軸で出てくる。警察に渡すときも、まとめて取り出せる。
台数が増えたときに差が出るのは、ここ。
玄関のカメラは、「いま」見るためのもの
意外と見落とされるところ。
玄関のカメラを使う場面を思い浮かべてください。
あとから映像を見返すのと、
ピンポンが鳴って、いま誰が来たか確かめるのと、どちらが多いか。
圧倒的に後者。
そして、そのときに起きること。ピンポンが鳴る。スマホを探す。アプリを開く。つながるのを待つ。
その間、相手は玄関で待っています。
これは、かなりやりづらい。
テレビの横にモニターを置いている方がいます。
ご高齢のお客様で、テレビの横に防犯カメラのモニターを設置されている方。ピンポンが鳴ったら、座ったまま画面を見る。誰が来たか確認してから、玄関に行く。
スマホを探す必要がありません。立ち上がる前に分かる。
この使い方は、
開ける前に相手の顔を見るということでもあります。業者や宅配を装って玄関を開けさせる手口があるので、ここは実際に意味のある話。
玄関を開けさせる手口については 闇バイト強盗(トクリュウ)から家を守る。下見に来た人間がためらう、目立つ防犯カメラの付け方 に書いています。
Wi-Fiの弱点は、途切れること
正直に書いておきたいところ。
Wi-Fi接続のカメラは、映像が途切れることがあります。
電波の状態、ルーターとの距離、壁や扉、同じ時間に動いている他の機器。条件によって、つながったり切れたり。
普段は問題なく見えていても、
肝心なところが映っていない。そういうことが起こり得ます。
厄介なのは、
途切れていたことに、あとで気づくこと。何かあって、映像を確認して、そこで初めて分かる。そのときには、もう遅い。
有線のカメラは、ケーブルでつながっています。
つながっているか、いないか。途中で揺らぐことがない。
並べると、こうなります
| 簡易型(Wi-Fi・1台) | 有線+録画機 |
| 設置 | 自分でできる | 配線工事が必要 |
| 費用 | 1万円前後から | 工事費を含めて数万円から |
| 見る方法 | スマホアプリが基本。PC用の公式アプリがない機種が多い | 録画機、パソコン、スマホ |
| 画面の大きさ | スマホの画面。細かい確認はしづらい | モニターやパソコンの大きい画面 |
| 来客時の確認 | スマホを探してアプリを開く必要がある | モニターを置けば座ったまま確認できる |
| 録画先 | カメラ本体のmicroSD、または有料クラウド | 録画機にまとめて保存 |
| 映像の安定 | 電波次第。途切れることがある | つながっていれば途切れない |
| 複数台の管理 | 記録がカメラごとに分かれる | 同じ時間軸でまとめて確認できる |
| 向いている人 | 玄関に1台、様子が分かればいい | 複数台を管理したい、記録を残したい |
長く使うと、差が出てくるところ
現場で感じていること、もうひとつ。
DahuaやHIKVISIONといったメーカー製のカメラは、内部の部品の劣化が少ない。数年使っても、カメラ自体の画質の落ち方がそれほど目立ちません。
ただし、
使用環境による。
たとえば
厨房。油と熱と湿気があるところは、やはり劣化します。屋外でも、直射日光が強く当たり続ける場所と、軒下では違う。
「どのカメラでも同じ」ということはない。かといって「高ければ絶対に持つ」ということもない。
置かれる場所で変わります。
すでに何か起きているなら
ここが一番お伝えしたいところ。
具体的な問題が、すでに起きている場合。
空き巣に入られた。何度も物が無くなる。嫌がらせが続いている。車に傷をつけられる。
こういう状態であれば、
ご予算が許すなら、業者に依頼されるのが解決への近道だと思います。
理由は、
証拠として使える映像を残す必要があるから。「たぶんこの時間」「たぶんこの人」では解決しません。はっきり映っていて、必要なときに取り出せること。途切れる可能性があり、記録がカメラごとに分かれる構成では、ここが苦しい。
まだ何も起きていない方と、すでに起きている方。
同じ「防犯カメラが欲しい」でも、必要なものが違います。
すでに被害に遭われている場合の考え方は 空き巣に入られた家は、また狙われる。5回入られた家も に書いています。
迷ったときの目安
整理すると、こうなります。
| 状況 | 向いているもの |
| 何も起きていない。玄関だけ見たい | 簡易型の防犯カメラ1台で十分 |
| 複数台を付けて、まとめて管理したい | 有線配線+録画機 |
| すでに被害や問題が起きている | 業者に相談(予算が許すなら) |
何台必要かの考え方は 戸建ての防犯カメラは何台必要か。出入り口を数えれば決まります にまとめています。
よくあるご質問
1万円くらいの簡易型防犯カメラでも大丈夫ですか?
使い方によります。玄関に1台付けて、誰が来たか分かればいいという使い方であれば、十分だと考えています。工事も必要なく、ご自分で設置できます。一方、複数台を付けてまとめて管理したい場合や、すでに具体的な被害が起きている場合は、有線で配線できるカメラのほうが向いています。
簡易型の防犯カメラは、パソコンでも見られますか?
機種によりますが、パソコン用の公式アプリが用意されていない製品が多くあります。たとえばTP-LinkのTapoには公式のパソコン用アプリがなく、パソコンで見るにはAndroidエミュレータを使う、RTSPを有効にして別のソフトで受ける、スマホ画面を映すといった手段になります。クラウド録画をブラウザで確認する画面はありますが、有料契約が前提です。SwitchBotの見守りカメラも、公式に案内されている閲覧方法はスマホアプリとAlexaです。基本的にはスマホで見る機械だとお考えください。
簡易型のカメラは、どこに録画されますか?
カメラ本体に挿したmicroSDカードか、有料のクラウドです。カメラごとに別々に保存されるため、複数台を付けると記録も台数ぶんに分かれます。あとから時間を指定してさかのぼる場合、カメラごとに探すことになります。有線のカメラと録画機の組み合わせであれば、全台ぶんが同じ時間軸でまとまります。
ピンポンが鳴ったとき、すぐ誰が来たか確認できますか?
簡易型の場合、スマホを探してアプリを開き、つながるのを待つことになります。その間、相手は玄関で待っているので、実際にはやりづらい場面です。モニターを設置する方式であれば、座ったまま画面を見て、誰が来たか確認してから玄関に行けます。ご高齢のお客様で、テレビの横にモニターを置いて使われている方がいます。
玄関を開ける前に相手の顔を見るのは、意味がありますか?
あります。業者や宅配を装って玄関を開けさせる手口があるためです。開ける前に顔を確認できれば、応対するかどうかを先に判断できます。スマホを探している間に開けてしまう、ということを避けられます。
Wi-Fiカメラの弱点は何ですか?
映像が途切れることがある点です。電波の状態、ルーターとの距離、壁や扉、ほかの機器の影響で、つながったり切れたりします。普段は見えていても、肝心なところが映っていないということが起こり得ます。しかも途切れていたことに、あとから映像を確認して初めて気づきます。
何台からWi-Fiではなく有線がいいですか?
台数で厳密に決まるものではありませんが、複数台を付けてまとめて管理したいと思った時点が目安です。3台、4台と増えると、まとめて見たい、時間を指定してさかのぼりたい、映像を取り出したいという管理の話になります。その段階では有線で配線し、録画機にまとめるほうが向いています。
安いカメラだと画質はすぐ悪くなりますか?
一概には言えませんが、DahuaやHIKVISIONなどのメーカー製は内部の部品の劣化が少なく、数年使ってもカメラ自体の画質の落ち方が目立ちにくいです。ただし使用環境によります。厨房のように油や熱、湿気がある場所では劣化しますし、直射日光が当たり続ける場所と軒下でも違います。
すでに被害に遭っているのですが、自分で付けても大丈夫ですか?
ご予算が許すなら、業者に依頼されることをお勧めします。すでに問題が起きている場合は、証拠として使える映像を残す必要があるためです。はっきり映っていること、必要なときに取り出せること。この2つが求められる状況では、映像が途切れる可能性があり、記録がカメラごとに分かれる構成は不利になります。
いま付けている簡易型のカメラを、有線に替えられますか?
替えられます。現地を確認したうえで、配線の経路と必要な台数をご提案します。いまお使いのカメラで不便に感じている点をお聞かせいただければ、それを踏まえた構成にします。
ご相談はこちら
「自分でやるか、頼むか」の段階からでも、
ご相談いただけます。
お話を伺って、
1台で足りると思えば、そうお伝えします。必要のない工事をお勧めすることはありません。
現地を調査したうえで、お見積りをお出しします。
株式会社White&Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉
この記事の出典
- TP-LinkのTapoに公式のパソコン用アプリがなく、パソコンで見るにはAndroidエミュレータ、RTSP、画面ミラーリング、Tapo Careのウェブ画面(有料契約が前提)といった手段になること:Tapoカメラをパソコンで見る方法の解説(ネットワークカメラミン)
- SwitchBot見守りカメラの録画先がmicroSDカードまたはクラウド(30日保存・有料プラン・スマホから閲覧)であり、公式に案内されている閲覧方法がスマホアプリとAlexaであること:SwitchBot公式製品ページ
- 玄関に1台という使い方であれば簡易型で十分と考えていること、複数台を管理する場合は有線配線が向いていること、具体的な問題が起きている場合は業者への依頼を勧めていること:株式会社White&Greenが現場でお客様にお伝えしている内容です。
- Wi-Fi接続のカメラは映像が途切れることがあり、肝心な場面が記録されていない場合があること:株式会社White&Greenが現場で確認している内容です。
- ご高齢のお客様で、テレビの横に防犯カメラのモニターを設置し、来訪者を確認してから玄関に行くという使い方をされている方がいること:株式会社White&Greenが設置したお客様の実際の使い方です。
- DahuaやHIKVISIONなどのメーカー製カメラは内部の部品の劣化が少なく画質が落ちにくいこと、厨房など使用環境によっては劣化すること:株式会社White&Greenが設置後の現場で確認している内容です。