太陽光発電所に、実際に何を付けているか。光と音とパトランプの組み立て方

太陽光発電所の防犯というと「電源もネット回線もない現場でどうするか」という話から始まることが多いのですが、当社の実務はそこからは始まりません。まず回線を引きます。そのうえで、抑止を光と音に、記録をカメラに割り振ります。 この記事では、株式会社White & Greenが実際に組んでいる2つのパターンを、そのまま書きます。

まず、ネット回線はたいてい引けます

「発電所には回線がない」と言われますが、実際には新規で引けることがほとんどです。よほどの田舎でない限り、光回線は通ります。当社も、カメラ工事と一緒に光回線の配線工事から請けることがあります。 回線が引けるかどうかで、できることが変わります。
  • 遠隔で映像を見られる。現場に行かずに状況が分かる
  • 異常があったときに、その場で通知を飛ばせる
  • 録画を現地の機械だけに頼らなくて済む
逆に、LTEやSIMを使う構成は「回線が引けないとき」の手段です。最初から選ぶものではありません。通信量の上限があり、月々の費用もかかります。まず引けるかどうかを調べる。これが最初の一手です。

抑止は光と音。カメラの仕事は記録

株式会社White & Greenの実感として、犯行の抑止にいちばん効くのは光と音です。カメラは記録のための装置で、抑止はセンサーライトと警報音・パトランプが担います。ここを混同して「カメラを増やせば止まる」と考えると、台数だけ増えて被害は止まりません。 千葉県警も、防犯カメラ/センサーライト/警報装置/多言語の警告看板を組み合わせて使うよう呼びかけています。警視庁も、太陽光発電施設についてはフェンスセンサー/防犯カメラ・センサーライト/アルミケーブルの導入と、定期的な見回りを挙げています。単品ではなく、組み合わせです。 この考え方の背景は、千葉県の記事に書いた「窃盗団は必ず下見に来る」という話とつながっています。下見の段階で「ここは面倒だ」と思わせられるかどうかが、最初の分かれ目です。

実際に、下見の段階で止まったことがあります

株式会社White & Greenが納めた発電所で、こんなことがありました。 窃盗団が下見に来ました。敷地に近づいたところでセンサーが反応し、パトランプが「警察に通報します」という音声を爆音で流しました。 それを聞いた周囲の住民が、実際に警察へ通報しました。結果、被害はゼロです。 翌朝7時に、オーナーから「ありがとう」という電話がかかってきました。

この一件が示していること

  • 止まったのは下見の段階でした。本番の前です。「窃盗団は必ず下見に来る」というのは、裏を返せば下見で止められるということでもあります
  • 効いたのは音でした。カメラも記録していましたが、その場で相手を追い返したのは爆音の音声です
  • そして人の目が働きました。音を聞いた住民が通報した。機械だけでは、ここまで行きません
「音・光・時間・人の目」のうち、音と人の目が同時に動いた形です。

ただし、条件はあります

この現場には、音が届く範囲に人が住んでいました。周囲に誰もいない山間の発電所なら、同じ音が鳴っても誰も通報しません。その場合は、防犯カメラの遠隔監視で補います。回線さえ引いてあれば、離れた場所から映像を確認できます。そのために専用の通報装置を足すほどの話ではありません。 どちらが正しいという話ではなく、現場に人の耳があるかどうかで変わる、ということです。だから現地を見ないと決められません。

パターンA:センサーライトが反応したら、パトランプが光る

配線でつなぐ、シンプルな構成です。
  • フェンス沿いにセンサーライトを並べる
  • 人が近づくとライトが点灯する
  • 同時に、キュービクル側に付けたパトランプが光る
太陽光発電所のフェンス沿いに設置したセンサーライト5台と、キュービクル上のパトランプを配線でつないだ構成図
フェンス沿いのセンサーライトが反応すると、キュービクル側のパトランプが光る。配線は各センサーから1本ずつ引き、幹線でまとめる。
奥行き70mほどの敷地で、センサーライト5台という組み方をしたことがあります。配線は、各センサーからキュービクルまで0.9mmの2芯線を1本ずつ、幹線は2.1mmの2芯です。 パトランプは、ただ光るだけの装置ではありません。表示を切り替えられるものを使っていて、「カメラ監視中」と「警備中」の2種類が出せます。音声メッセージを鳴らせるタイプもあり、退出を促す内容と、110番通報を伝える内容を選べます。暗くなると自動で点灯する常夜灯の機能も付いています。

この構成の利点

  • 通信を使わないので、月々の費用が発生しない
  • 仕組みが単純で、壊れにくい
  • 敷地の入口側から見て、何かあったことがひと目で分かる

この構成の限界

  • 配線工事が必要になる。敷地が広いほど線が長くなる
  • 誰も見ていなければ、光っても誰も気づかない。周囲に人家や通行がある現場向きです

パターンB:フェンスセンサーが反応したら、電話が鳴る

フェンスがあって、検知の確実さを上げたい現場で使う構成です。
  • フェンスに沿ってフェンスセンサーを張る(100mといった長さで組みます)
  • フェンスに触れる、揺らす、越えようとすると検知する
  • 反応すると、キュービクル内のコントローラーが登録した電話番号へ発報する
  • 同時にパトランプが光る
ここで一点、設計上の選択があります。この構成ではパトランプは光らせますが、センサーライトは点灯させません。フェンスセンサーで検知してから知らせる流れなので、ライトまで連動させると誤作動のたびに現場が明るくなってしまうためです。もちろん、センサーライトをフェンス側に回して点灯させる組み方もできます。現場の条件で決めます。

この構成の利点

  • 現場に誰もいなくても、異常が人に届く
  • フェンスを越える前の段階で検知できる

この構成の限界

  • フェンスがない発電所では使えません。フェンスに付ける機器なので、そもそも張られていない現場では選択肢になりません
  • センサーライトに比べて費用が高くなります。センサー、コントローラ、工事が一式で必要になるためです
  • センサー自体は光りません。検知するだけなので、威嚇はパトランプなど別の機器が担います
  • 風、草、動物による誤報をどう抑えるかの調整が要る
  • 通報先の電話に出られなければ、届いても動けない
  • 通信の費用がかかる

忍び返しをやらなかった理由。越えるのではなく、切って入るから

見積りまで出して、採用に至らなかった対策があります。忍び返しです。フェンスの上に付けて、越えにくくする部材です。横20cmのものを20cmおきに並べて80m分、という形でお出ししました。 採用されなかった理由は、はっきりしています。その現場では、フェンスを切断して侵入されていたからです。 忍び返しは「越えにくくする」装置です。越えずに切る相手には効きません。お金をかける場所が違う、ということになります。当社としては、やっていないものを「やっています」と書かないので、施工実績がないことはそのまま書いておきます。

切って入るのは、この現場だけの話ではない

公表されている事件を見ても、切る手口は目立ちます。
  • 2026年2月の愛知県豊田市の事件では、金網フェンスを切断して侵入し、銅ケーブル約6,700m(時価約1,430万円)が盗まれています(詳細はこちら)
  • 千葉県いすみ市の発電所では、2回目の被害のときに、1回目にはなかったフェンスの切断が伴っていました
  • 2025年9月からは、ボルトクリッパーやケーブルカッターの隠匿携帯が禁止されました。切る道具を持ち歩いている前提で、法律ができているということです
しかも、入口は上だけではありません。フェンスの下部の隙間、継ぎ目、コーナーの固定が弱いところ、そして門扉の錠前。狙えるところはいくつもあります。フェンスを高くする発想だけでは、追いつきません。

では、どうするか。まず考えるのはセンサーライトです

切って入る相手に対して必要なのは、近づいた時点で気づいて、その場で威嚇することです。越えにくくすることではありません。 その役割を1台で兼ねられるのが、センサーライトです。人が近づけば検知し、同時に光ります。検知と威嚇が一緒になっている。だから株式会社White & Greenは、まずここから考えます。 フェンスセンサーも有力ですが、万能ではありません。両方の性格を並べると、こうなります。
  • センサーライト… 近づいた人を検知して、その場で光る。フェンスがない発電所でも使える。費用を抑えやすい
  • フェンスセンサー… フェンスに触れた、切った、越えようとした、を問わず検知する。ただしそれ自体は光らないので威嚇はパトランプが担う。フェンスがないと使えない。そして費用は高くなる
言い方を変えると、フェンスセンサーは検知するものであって、防御するものではありません。防御という面では、センサーライトのほうが優れています。検知した瞬間にその場で光り、相手に「見られている」と伝えられるからです。 太陽光発電所は、フェンスが張られていない現場も珍しくありません。その時点でフェンスセンサーは候補から外れます。予算の話もあります。だから「フェンスセンサーを入れましょう」が最初に来ることは、当社ではあまりありません。 フェンスセンサーが生きるのは、フェンスがあって、予算が取れて、検知の確実さを上げたい現場です。フェンス線上でまとめて拾えるので、ライトを何台も並べるより確実な場面はあります。そういう条件が揃ったときの、上位の選択肢だと思ってください。 そしてどちらを選んでも、フェンスだけで止めきれるとは考えないほうがいいです。入られた後に狙われるのは、キュービクルや接続箱、ハンドホール、露出した配線といった決まった場所です。気づく仕組みと、光と音の威嚇と、カメラの記録。この組み合わせになります。

4つの原則で整理すると

防犯の世界では「音・光・時間・人の目」という4つの原則がよく使われます。発電所にあてはめると、警報音と音声メッセージが「音」、センサーライトとパトランプが「光」、フェンスやケーブルの埋設・固定が「時間」、そしてカメラと警告看板が「人の目」です。1つの機器で全部をまかなおうとしないことが、設計の基本になります。

カメラは、どこに何を向けるか

株式会社White & Greenがよくやるのは、敷地まわりの電柱など高い位置に、防水ボックスとセットで取り付ける形です。パネルの列と、車が入ってくる進入路を見下ろす画角にします。
電柱の高い位置に設置した防犯カメラから、太陽光発電所のパネル列と進入路を見下ろす画角を示した図
電柱など高い位置から、パネル列と進入路の両方を見下ろす。手の届く高さに付けると、下見の段階で外されたり向きを変えられたりします。
高い位置に付けるのには理由があります。手の届く高さだと、下見の段階で外されたり向きを変えられたりするからです。これは防犯機器全般に言えることで、ALSOKもセンサーライトについて「手の届く低い位置に付けない。下見の段階で取り外されるおそれがある」「外から見えにくい場所に設置する。照射範囲や角度を下見で把握されると効果が薄れる」と書いています。 台数については、千葉県の記事にも書いたとおり「何坪だから何台」とは言えません。敷地が細長いか正方形に近いか、道路に面している辺が何本あるか、フェンスのどこが死角になるか、キュービクルやハンドホールがどこにまとまっているか。形で変わります。

どう組み合わせるか、判断の順番

現地を見るときに、当社が順番に確認していることを書いておきます。
  1. 光回線が引けるか。引けるなら遠隔と通報の選択肢が広がります
  2. 現場や周囲に人の目があるか。あるならパターンA、ないならパターンB寄りになります
  3. フェンスがあるか、これから張るか。フェンスがあれば、そこにセンサーを張れます
  4. 敷地の形と、進入できる場所。ここでカメラの台数と向きが決まります
  5. キュービクルの位置。録画機、電源、コントローラ、パトランプをまとめる場所になります
この5つを見ないと、金額は出せません。逆に言えば、この5つを見れば根拠のある金額が出せます。 全国で被害がもっとも多い茨城県については、茨城県の状況をまとめた記事で詳しく扱っています。

よくある質問

太陽光発電所にネット回線は引けますか

よほどの田舎でない限り、新規で引けることがほとんどです。株式会社White & Greenでは、カメラ工事と一緒に光回線の配線工事から請けることもあります。回線が引ければ遠隔監視ができ、LTEやSIMは回線が引けないときの手段になります。

太陽光発電所の盗難対策は何から始めるべきですか

センサーライトです。人が近づくと検知し、同時に光るため、検知と威嚇を1台で兼ねられます。フェンスがない発電所でも設置でき、費用も抑えられます。

センサーライトとフェンスセンサーの違いは何ですか

センサーライトは近づいた人を検知してその場で光ります。フェンスセンサーはフェンスへの振動や衝撃を検知しますが、それ自体は光らないため威嚇はパトランプなど別の機器が担います。またフェンスがないと使えず、費用も高くなります。

太陽光発電所に忍び返しは効果がありますか

効かない現場があります。株式会社White & Greenが見積もった現場では、フェンスを乗り越えるのではなく切断して侵入されていました。忍び返しは越えにくくする部材なので、切って入る相手には効きません。

防犯カメラは何台必要ですか

敷地の形で変わるため、面積だけでは決められません。細長いか正方形に近いか、道路に面した辺の数、死角の位置、キュービクルや接続箱の位置、電源と通信の有無で台数と向きが決まります。

防犯カメラの設置費用はいくらですか

敷地の形と配線の距離で費用が大きく変わるため、株式会社White & Greenではあらかじめ金額を出していません。現地を調査したうえでお見積りをお出しします。

ご相談はこちら

太陽光発電所の防犯カメラ設置は、まずはご相談ください。現地を調査したうえで、お見積りをお出しします。 あらかじめ金額を出していないのは、発電所は敷地の形と配線の距離で費用が大きく変わるからです。「◯台でいくら」と先に出しておいて後から追加、ということにしたくありません。現地を見たうえで、根拠のある金額をお出しします。 株式会社White & Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬 お問い合せフォームはこちら

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出典・参考