畑やビニールハウスの農作物が盗まれる。果樹園の実が、収穫の直前に消える。保管庫の鍵が壊されて、玄米ごと持っていかれる。
この記事では、いま全国で何件起きていて、どの時期に何が狙われているのかを、警察庁と県警の公表資料で整理します。
先に結論です。件数は増えていません。横ばいです。問題は別のところにあります。
全国で年間2,200件前後。5年ほど横ばい
警察庁の「財産犯被害額・回復額及び被害品別認知・検挙件数」による農作物盗難の認知件数です。
| 年 | 認知件数 |
| 令和4年(2022年) | 2,194件 |
| 令和5年(2023年) | 2,154件 |
| 令和6年(2024年) | 2,201件 |
| 令和7年(2025年) | 2,188件 |
毎年2,000件を超えていますが、
急増はしていません。
太陽光発電所のケーブル盗難が令和2年の5,478件から令和6年に20,701件へ、4年で約3.8倍になったのとは、まったく違う動き方です。
ではなぜ対策が必要なのか。理由は3つあります。
理由1:半分以上が捕まっていない
令和6年の農作物盗難の
検挙件数は955件、検挙率は43.4%でした。
6割近くが、誰がやったか分からないまま終わっています。
件数が横ばいということは、
減ってもいないということです。毎年2,200件発生して、毎年1,200件以上が未解決のまま積み上がっています。
理由2:1回あたりの被害が大きい
実際にあった事例です。
- 茨城県鉾田市:令和6年4月、ビニールハウスからメロン約600玉(60万円相当)。翌5月には別のハウスでメロン約500玉
- 山梨県笛吹市:令和6年7月、収穫間際の桃100個。令和4年7月には笛吹市と山梨市で数千個規模の桃の盗難が相次ぎました
- 京都府:令和6年6月に九条ネギ100キロ、7月に別の畑で約300キロ(9万円相当)
メロン600玉は、手で持って帰れる量ではありません。
車両を入れて、複数人で、まとめて持っていきます。
そして農作物は、
1年かけて育てたものです。盗まれたら、その年はもう取り返せません。金額以上の損失になります。
理由3:狙われる時期が、はっきり決まっている
ここが農業の防犯で一番重要なところです。茨城県警察が公表している、県内の農作物盗難の件数です(手口「万引き」を除く)。
| 年 | 件数 | 最多の月 |
| 令和3年 | 86件 | 5月(13件) |
| 令和4年 | 100件 | 9月(28件) |
| 令和5年 | 78件 | 9月(16件) |
| 令和6年 | 116件 | 5月(21件) |
| 令和7年 | 99件 | 5月(15件) |
5年を合計すると、
9月が82件で最多、5月が65件で2番目です。
収穫期に集中しています。当たり前のようですが、これは防犯の設計に直結します。1年中同じ警戒をする必要はなく、
自分の作物の収穫期に備えればいいということです。
月別・狙われる作物(茨城県警)
| 時期 | 狙われる作物 |
| 1〜2月 | 白菜、ネギ、ニラ |
| 3〜4月 | トマト、タケノコ、玉ねぎ |
| 5〜6月 | メロン、スイカ、にんにく、玉ねぎ、じゃがいも |
| 7〜8月 | スイカ、梨、ブドウ、とうもろこし |
| 9〜10月 | ブドウ、梨、トマト、玄米、栗、サツマイモ |
| 11〜12月 | 柿、みかん、キャベツ |
犯人は、何がいつ穫れるかを知っています。通りすがりの犯行ではありません。
令和4年には、
まだ熟していない桃が大量に盗まれ、フリマアプリに出品された事例もあります。売り先が決まっている犯行です。
いつ、どこから入られるか
茨城県警察によれば、犯行は
夜間から翌朝にかけてです。
場所は、
保管庫の鍵を壊されて入られた例もあります。収穫したものを収穫用のコンテナごと持っていかれた例もあります。
畑に実っているものを一つずつ取るより、
収穫済みのものをまとめて持っていくほうが速いからです。収穫が終わった直後がいちばん危ない、ということになります。
農機具も盗まれています
農作物だけではありません。
2025年には、
トラクターなどの特殊自動車が全国で179件盗まれています(フォークリフトなども含む件数です)。不正輸出や転売に使われるケースが指摘されています。
農林水産省が警察庁の協力を得て過去5年間のデータをまとめたところ、
- 被害の26%は、農機が農地に置かれた状態で発生
- 39%は、エンジンキーが差したままか、運転席の周りに置かれたまま
鍵のかかっていない倉庫やハウスに置いていて盗まれた例もあります。
トラクター1台は数百万円です。
作物より農機のほうが、金額は大きくなります。
茨城県警が挙げている対策
茨城県警察が農業者向けに示している対策です。
- 防犯カメラの設置と、作動中であることの表示
- センサーライトの設置
- センサー式の音声警報機の設置
- 収穫物や道具(はさみ・コンテナ・脚立)を現場に放置しない
- 保管庫・門・出入口を確実に施錠する
- 収穫期は定期的に見回る
- 不審な人や車を見たら110番
上から3つに注目してください。カメラ、光、音です。
株式会社White&Greenが
太陽光発電所で組んでいる構成と、まったく同じ考え方です。
- 夜間、人がいない
- 敷地が広くて囲いきれない
- 盗る物が決まっていて、犯人は下見をしてから来る
太陽光発電所と農地は、
防犯の条件がほぼ同じです。だから効く対策も同じになります。
被害に遭ったら、警察だけではありません
これは意外と知られていません。農林水産省は、被害に遭った場合に次のことを求めています。
- 速やかに最寄りの警察に被害を届ける
- 「農作物盗難被害報告書」を作成し、最寄りの自治体またはJAに提出する(農林水産省がテンプレートを公開しています)
- 収入保険に加入している場合は、各地域のNOSAIに相談する
農林水産省は、届出と報告書の提出が捜査の端緒になるだけでなく、
盗難の実態把握と地域の対策強化につながるとしています。
警察に届けただけで終わっている方が多いと思います。
自治体かJAへの報告書を出すところまでが1セットです。
これから、農業の防犯について書いていきます
株式会社White&Greenは、太陽光発電所の防犯を専門的にやってきました。その中で、
農地もまったく同じ条件だということが分かってきました。
- 夜、人がいない
- 広くて、全部は囲えない
- 電源が近くにないことがある
- 犯人は下見をしてから、車で来る
- そして、見られることを嫌がる
太陽光発電所では、センサーライトの光とパトランプの音で、下見の段階で追い返した実績があります。
その構成はこちらです。
農地・ハウス・果樹園・保管庫で、何をどう付けるのが現実的か。これから具体的に書いていきます。
とくに
果樹園の被害が目立っています。2026年8月に栃木県佐野市でシャインマスカット約400房、7月に福岡県うきは市で収穫直前の梨約5,000個が盗まれ、うきは市の農家は2年連続の被害で廃園を決めました。
ご相談はこちら
農地・ビニールハウス・果樹園・農機具倉庫の防犯カメラ設置は、
まずはご相談ください。現地を調査したうえで、お見積りをお出しします。
あらかじめ金額を出していないのは、農地は形と広さ、電源の有無で費用が大きく変わるからです。「◯台でいくら」と先に出しておいて後から追加、ということにしたくありません。現地を見たうえで、根拠のある金額をお出しします。
なお、
遠隔地の場合は現地調査費用をいただくことがあります。費用の目安は、交通費と人件費です。お問い合わせの際に所在地をお知らせいただければ、調査費用が発生するかどうかを先にお伝えします。
株式会社White&Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬
お問い合せフォームはこちら
この記事の出典
よくあるご質問
農作物の盗難は全国で何件起きていますか?
警察庁の統計では、農作物盗難の認知件数は令和4年が2,194件、令和5年が2,154件、令和6年が2,201件です。2025年は2,188件でした。毎年2,000件を超えていますが、急増はしておらず、ここ数年は横ばいです。
農作物盗難の検挙率はどのくらいですか?
令和6年の検挙件数は955件、検挙率は43.4パーセントです。6割近くが誰による犯行か分からないまま終わっています。件数が横ばいということは減ってもいないということで、毎年1,200件以上が未解決のまま積み上がっています。
農作物が盗まれやすい時期はいつですか?
収穫期に集中します。茨城県警察のデータでは、令和3年から令和7年までの5年間で9月が82件と最も多く、5月が65件で2番目です。時間帯は夜間から翌朝にかけてです。1年中同じ警戒をする必要はなく、自分の作物の収穫期に備えることが現実的です。
どんな作物が狙われますか?
茨城県警察によると、時期ごとに狙われる作物が変わります。1〜2月は白菜・ネギ・ニラ、3〜4月はトマト・タケノコ・玉ねぎ、5〜6月はメロン・スイカ・にんにく・玉ねぎ・じゃがいも、7〜8月はスイカ・梨・ブドウ・とうもろこし、9〜10月はブドウ・梨・トマト・玄米・栗・サツマイモ、11〜12月は柿・みかん・キャベツです。犯人は何がいつ穫れるかを知っており、通りすがりの犯行ではありません。
1回の被害はどのくらいの規模になりますか?
まとまった量が一度に持ち去られます。茨城県鉾田市では令和6年4月にビニールハウスからメロン約600玉(60万円相当)が盗まれ、翌5月にも別のハウスでメロン約500玉が被害に遭いました。京都府では九条ネギが約300キロ(9万円相当)、山梨県笛吹市では収穫間際の桃が数千個規模で盗まれた年もあります。手で持ち帰れる量ではなく、車両を入れて複数人で運び出しています。
どこから入られることが多いですか?
畑(ほ場)、ビニールハウス、果樹園、そして保管庫です。保管庫の鍵を壊されて侵入された例や、収穫用のコンテナごと持ち去られた例があります。畑に実っているものを一つずつ取るより収穫済みのものをまとめて運ぶほうが速いため、収穫が終わった直後が特に危険です。
農機具も盗まれますか?
盗まれます。2025年にはトラクターなどの特殊自動車が全国で179件(フォークリフトなども含む)盗まれており、不正輸出や転売に使われるケースが指摘されています。農林水産省が警察庁の協力を得て過去5年間のデータをまとめたところ、被害の26パーセントは農機が農地に置かれた状態で発生し、39パーセントはエンジンキーが差したままか運転席の周りに置かれたままでした。
警察が勧めている対策は何ですか?
茨城県警察は、防犯カメラの設置と作動中であることの表示、センサーライトの設置、センサー式の音声警報機の設置、収穫物や道具を現場に放置しないこと、保管庫や出入口の確実な施錠、収穫期の定期的な見回り、不審な人や車を見たときの110番通報を挙げています。上位3つがカメラ・光・音である点は、株式会社White&Greenが太陽光発電所で組んでいる構成と同じ考え方です。
被害に遭ったら何をすればよいですか?
まず速やかに最寄りの警察に被害を届けてください。そのうえで農林水産省は、「農作物盗難被害報告書」を作成して最寄りの自治体またはJAに提出すること、収入保険に加入している場合は各地域のNOSAIに相談することを求めています。報告書のテンプレートは農林水産省が公開しています。届出と報告書の提出は捜査の端緒になるほか、盗難の実態把握と地域の対策強化につながります。