太陽光発電所の盗難対策で、いちばん見落とされているのがこれです。一度盗難に遭った発電所は、また狙われます。しかも、次に来るのは数年後ではありません。復旧工事が終わった直後のこともあります。
この記事では、公表されている事例と、株式会社White & Greenが千葉県警の担当者から直接聞いた話をもとに、何が起きているのかを整理します。
一度盗難に遭った太陽光発電所は、また狙われますか
狙われます。再生可能エネルギー事業者の自然電力は、「一度盗難にあった発電所は繰り返し盗難にあう傾向が見られます」とはっきり書いています。業界では知られた話です。
そして株式会社White & Greenは、2年ほど前、被害に遭った発電所でセキュリティ機器の設置を打ち合わせた際、オーナーと千葉県警の担当者と3者で話をしました。その場で千葉県警の担当者から直接聞いたのが、次の内容です。
犯行グループは半年ほどのスパンで巡回していて、一度やった発電所を同じように回って狙っている。
これは千葉県警が件数として公表している資料ではありません。打ち合わせの場で聞いた説明です。そこは正直に書いておきます。
2回目の被害は、何か月後に来ますか
短いもので、復旧完了から約1か月後の例が公表されています。「半年」はあくまで目安で、それより早いことがあります。
千葉県いすみ市の発電所の例
個人事業者が公開している記録です。時系列はこうなっています。
- 8月15日 … 1回目の被害が発覚。1か月の発電量が1,216kWh、通常の2割程度に落ちていたことで気づいた
- 9月16日 … 復旧工事を着工
- 9月18日 … 復旧工事が完了
- 10月18日 … 2回目の被害が発覚。復旧完了から約1か月後
2回目は、1回目にはなかった
フェンスの切断を伴っていました。そしてこの時点で、防犯カメラは設置されていませんでした。
千葉県内の別の発電所の例
道路も住宅もなく、周囲を林に囲まれた立地の発電所では、管理者が「
立て続けに4回の被害に遭っています」と説明しています。被害総額は1億円です。
なぜ犯行グループは同じ発電所に戻ってくるのですか
その発電所が、いちばん効率のいい現場になるからです。理由を並べると、戻ってくるほうが合理的だと分かります。
- 復旧すれば、同じ場所に新品の銅ケーブルが入る。品質も量も分かっている
- 人目のなさ、逃走経路、侵入しやすい箇所といった現場の条件は、復旧しても変わらない
- 一度入った側は、配線の位置も敷地の構造も把握している。下見をやり直す必要がない
- オーナーは被害直後こそ警戒するが、復旧が終わると気が緩む
犯行側から見れば、被害に遭った発電所は「場所も中身も分かっていて、しかも新品が入る現場」です。新しい発電所を探して下見からやり直すより、効率がいい。
下見で防犯設備を確認しているという裏付け
茨城県警は、金属盗の手口について次のように公表しています。
犯人は事前に下見をし、防犯設備の設置状況を確認することがある。(茨城県警察「金属盗難に注意!」)
つまり、1回目の被害のあとに何も変えていなければ、
下見で「まだ何もしていない」と確認されます。逆に言えば、変えていればそこで外される可能性があります。
2回目の被害は、1回目より大きくなりますか
手口が荒くなる傾向があります。いすみ市の例では、1回目になかったフェンスの切断が2回目で加わりました。
何か対策を入れていれば、それを壊してでも入ろうとする。逆に、何も入れていなければ1回目と同じ方法で入られる。どちらにせよ、
2回目のほうが身構えて来ていると考えたほうがいいです。
そして被害額の計算は、盗まれた銅の価格では終わりません。復旧までのあいだ、
売電収入がゼロになります。発覚が遅れれば、その分も積み上がります。いすみ市の例では、
発電量の異常でしか気づけませんでした。カメラもセンサーもない発電所では、切られてから気づくまでに1か月単位の遅れが出ます。
2回目の盗難は、保険で補償されますか
されない場合があります。自然電力は「複数回の盗難も適用外となる場合があります」としています。
実務では、次のようなことが起きています。
- 免責金額の引き上げ(100万円以上の設定も)
- ケーブル盗難そのものを免責とする契約
- 被害後に、その発電所が不担保になる
背景には、保険会社側の事情があります。2022年度の盗難に対する保険金支払いは、2017年度の
約20倍に膨らみました。引き受けが厳しくなるのは当然です。
結論としては、
2回目は自己負担になる前提で考えておく必要があります。
では、いつ対策を入れるべきですか
1回目の復旧工事と同時です。株式会社White & Greenがこの順番を勧める理由は単純で、
復旧してから検討すると、その検討期間がそのまま2回目のリスクになるからです。
いすみ市の例を思い出してください。復旧完了が9月18日、2回目の発覚が10月18日。
検討する時間は1か月もありませんでした。
工事をまとめる実務上の利点もあります。
- 復旧工事で業者が現場に入るので、配線や基礎の工事を一度で済ませられる
- キュービクル周りを開けるタイミングで、録画機や電源をまとめて納められる
- 1回目の被害で「どこから入られたか」が分かっているので、設計の精度が上がる
具体的に何をどう組むかは、
こちらの記事にまとめました。抑止を担うのは光と音で、カメラの仕事は記録です。
1回目の被害のあと、すぐにやっておくことは
順番に書きます。
- 警察に届け出る。被害届を出さないと統計にも乗らず、保険の手続きも進みません
- 被害状況を写真に残す。切断箇所、侵入経路、フェンスの状態。保険と、次の設計の両方に使います
- 保険会社に連絡する。次の契約がどうなるか(免責・不担保)を早めに確認しておきます
- どこから入られたかを特定する。フェンスの切断箇所、門扉、下部の隙間。ここが次の設計の起点になります
- 復旧と防犯を同時に見積もる。別々に頼むと、工事が二度手間になります
- 草を刈る。茨城県警も「管理が行き届いている印象を与える」ことを対策に挙げています。草刈りは防犯対策です
地域別の被害状況は、
茨城県と
千葉県の記事にまとめています。
よくある質問
一度盗難に遭った太陽光発電所は、また狙われますか
狙われます。自然電力は「一度盗難にあった発電所は繰り返し盗難にあう傾向が見られます」としています。株式会社White & Greenが千葉県警の担当者から直接聞いた話では、犯行グループは半年ほどのスパンで巡回し、一度やった発電所を再び狙います。
2回目の被害は何か月後に来ますか
短い例では、復旧完了から約1か月後です。千葉県いすみ市の発電所では、1回目の発覚が8月15日、復旧完了が9月18日、2回目の発覚が10月18日でした。
なぜ同じ発電所が繰り返し狙われるのですか
復旧すれば同じ場所に新品の銅ケーブルが入り、人目のなさや侵入経路といった現場の条件は変わらないためです。一度入った側は配線の位置も敷地の構造も把握しているので、下見をやり直す必要がありません。
2回目の盗難は保険で補償されますか
されない場合があります。複数回の盗難が適用外になることがあり、免責金額の引き上げ、ケーブル盗難そのものの免責、被害後の不担保といった扱いも出ています。2回目は自己負担になる前提で考える必要があります。
防犯対策はいつ入れるべきですか
1回目の復旧工事と同時です。復旧してから検討すると、その検討期間がそのまま2回目のリスクになります。復旧工事で業者が現場に入るタイミングなら、配線工事を一度で済ませられます。
盗難に遭ったことに、どうやって気づきますか
カメラやセンサーがない発電所では、発電量の異常でしか気づけません。千葉県いすみ市の例では、1か月の発電量が通常の2割程度に落ちたことで発覚しました。切られてから気づくまでに1か月単位の遅れが出ます。
神奈川県では、神奈川県営の太陽光発電所が2回やられています。1回目のあとに人感センサー付き防犯カメラを設置しましたが、2回目は一晩で約2,700mが抜かれ、被害額は約3,000万円でした。
ご相談はこちら
一度被害に遭った太陽光発電所の防犯対策は、
まずはご相談ください。復旧工事と同時に進めるのがもっとも合理的です。現地を調査したうえで、お見積りをお出しします。
あらかじめ金額を出していないのは、発電所は敷地の形と配線の距離で費用が大きく変わるからです。「◯台でいくら」と先に出しておいて後から追加、ということにしたくありません。現地を見たうえで、根拠のある金額をお出しします。
なお、
遠隔地の場合は現地調査費用をいただくことがあります。費用の目安は、交通費と人件費です。お問い合わせの際に発電所の所在地をお知らせいただければ、調査費用が発生するかどうかを先にお伝えします。
株式会社White & Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬
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出典・参考