「農家の倉庫の防犯カメラは35万〜50万円」と聞くと、小さな畑を何枚か作っている農家には重い金額です。「必要なのは分かるけど、出せない」。そう思う方のほうが多いと思います。
でも、35万〜50万円は、カメラにセンサーライトとサイレン(パトランプ)まで付けた構成の目安です。自分の家の倉庫や作業場、家の近くの畑やハウスに付けるなら、思っているほど費用をかけずにできる可能性があります。
この記事では、小規模農家の方が自分のところに付けるときに費用を抑える考え方を先に書きます。そのうえで、近所の農家や町内会でまとめて付ける方法も紹介します。
先に結論です
- 自分のところに付けるなら、費用を抑えてできる可能性があります。電気が来ている場所に、サイレンなしのカメラだけを、普通に配線して付けるのがポイントです
- 家の近くの倉庫や作業場なら、費用は一般の家庭と同じか、少し上がる程度。家庭ではカメラ4台で20万円〜(税別)が目安です
- ソーラー式のカメラもありますが、配線できる場所なら、ソーラー式でないほうがいいというのが当社の考えです
- 守るのは、倉庫や作業場の出入口、車をつける場所。盗む側は車で来て、出入口から運び出します
- 近所の農家や町内会でまとめて付けるなら、農道や集落の入口の道路を撮るカメラとして、自治会向けの補助金が使える可能性もあります(関東の約100の市区町村にあります)
- お金をかけない対策(施錠、収穫物を置かない、ステッカー)は、すぐに全部やる
自分のところに付けるなら。費用を抑える考え方
1. 電気が来ている場所に付ける
費用が大きく変わるのは、カメラの台数よりも、
電気と配線の距離です。
家の敷地の中にある倉庫や作業場、家のすぐ近くの畑やハウスなら、たいてい電気が来ています。電源のすぐ近くにカメラを付け、録画機を家や倉庫の中に置けば、配線は短くて済みます。電気を新しく引き込む工事や、映像を送るためのネット回線の工事が要らなければ、そのぶん費用は下がります。
2. 普通に配線する。ソーラー式でなくていい
電気の来ていない場所向けに、ソーラーパネルで動き、携帯電話の回線で映像を送るカメラもあります。ただ、通信料が毎月かかり、サイレンやパトランプとは連動できません。
小規模農家の倉庫や家の近くの畑のように、
配線できる場所なら、普通に配線するほうがいいというのが当社の考えです。録画も、レコーダーでの24時間録画にできます。
3. まずはサイレンなしの、カメラだけ
当社は、盗まれるのを止めるのは「その場の光と音」だと考えています。ただ、費用を抑えて始めるなら、
サイレンを付けずに、カメラだけの構成が現実的です。センサーライトとサイレンまで付けた構成と比べて、
費用はだいぶ下がります。
家の近くの倉庫や作業場など、電気が来ている場所にカメラだけを付けるなら、費用は
一般の家庭に付ける場合と同じか、少し上がる程度です。一般の家庭では、家の周囲をカメラ4台で囲う場合、固定レンズのバレット型カメラで200万画素(マイク内蔵)なら
20万円〜(税別)、500万画素なら
25万円〜(税別)が目安です。配線の距離など、現場の条件によってプラスアルファがあります。夜間もフルカラーのカメラと録画機の
防犯カメラ工事セットは、1台104,800円〜(税別・工事費込み、11月末まで特別セール)です。
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カメラだけでも、できることはあります。
- 記録が残る:何時に、どんな車が入ってきたか。被害に遭ったとき、警察に提供できます。検挙率が43.4%しかない農作物の盗難で、手がかりがあるかないかは大きな違いです
- 「見られている」と伝わる:「防犯カメラ作動中」の看板やステッカーと組み合わせると、下見に来た相手に、ここは記録されていると伝わります。農林水産省の資料には、いちごハウスでカメラとステッカーを付けたあと盗難が起きていない、という事例が載っています
その場で警告したい畑(被害が大きい作物、何度も狙われている畑)には、あとから光と音を足すこともできます。
4. 守る場所を絞る
最初から畑全体を守ろうとすると、高くつきます。まずは、盗まれたら困るものがまとまっている場所に絞ります。
- 倉庫や作業場の出入口。米も農機具も資材も、運び出すには必ず出入口を通ります
- 車をつける場所。大量の収穫物やトラクターは、車がないと運べません。車が写るかどうかが大事です
- 家から見えにくい側。家の裏手の畑やハウスの入口など
カメラは、手の届かない高い位置に付けます。低いと、下見の段階で向きを変えられたり、外されたりします。
町内でまとめて付けるなら。こういう方法もあります
自分の家から離れた畑や、電気の来ていない畑は、1軒で守ろうとすると高くつきます。そういう場合は、
近所の農家や町内会でまとめて付ける方法もあります。
畑の防犯は、1軒でやろうとすると、どうしても高くつきます。
- 畑は広い。果樹園でも、関東の主な梨産地では1軒あたり平均約1ha(100m四方)あります
- 電気が来ていない畑が多い。電気を引き込む工事が要ることもあります
- 自宅から離れた畑なら、映像を見るためのネット回線も要ります
でも、盗む側の動きを考えると、別の守り方が見えてきます。
キャベツ1,200個も、梨5,000個も、車がないと運べません。そして車は、決まった道を通ります。
一軒一軒の畑を守るのではなく、
その地域の畑に入るための道を、みんなで押さえる。これが、小規模農家にとって現実的な守り方です。
何軒かでまとめる。町内会でカメラを付けるのと同じ形
住宅地では、町内会や自治会が、通学路や集落の入口に防犯カメラを付けています。費用は町内会で出し合い、市町村の補助を使い、映像は決まった人だけが見られるようにして、何かあったときに警察に提供します。
農家も、同じ形でできます。
- どこに:農道の入口、集落に入る道、何軒かの畑に共通する出入口
- 何を撮るか:道を通る車と人。夜に入ってくる車が、何時に、どちらから来たかが記録に残ります
- 誰が付けるか:何軒かの農家、生産部会、または町内会・自治会として
1台のカメラを、何軒かで分け合うことになります。1軒あたりの負担は、1軒で付けるよりずっと小さくなります。
カメラは、普通に配線して付けられます。ソーラー式のカメラもありますが、配線できる場所なら、
ソーラー式でないほうがいいというのが当社の考えです。電気がまったく来ていない長い農道の場合は、
農道を守ろうに書いたように、ソーラー式が割安になります。
町内会・自治会として付ければ、補助金が出る
農家向けの防犯カメラの補助は、関東ではほとんどありません。当社が関東7都県の全316市区町村を調べたところ、農業の防犯にはっきり使える制度は数か所だけで、上限も2万〜5万円でした。
ところが、
自治会・町内会向けの防犯カメラ補助は、関東の
約100の市区町村にあります。
| 都県 | 自治会向けの補助がある市区町村(目安) | 例 |
| 茨城 | 約15/44 | 土浦市:2分の1・1台20万円 |
| 栃木 | 約9/25 | 宇都宮市:3分の2・上限22万円 |
| 群馬 | 約6/35 | 館林市:4分の3・1台30万円 |
| 千葉 | 約21/54 | 千葉市:4分の3・新規1台30万円 |
| 埼玉 | 約14/63 | さいたま市:4分の3・1台25万円 |
| 東京 | 約27/62 | 区部は補助率が10分の9以上の区も多い |
| 神奈川 | 約12/33 | 横浜市:10分の9・1台28万円 |
※当社の調査の記録から数えた目安です。制度は年度ごとに変わります。
自分の市区町村に自治会向けの補助があるかは、県別のページの一覧表で探せます:
茨城県・
栃木県・
群馬県・
千葉県・
埼玉県・
東京都・
神奈川県。
ただし、条件があります
- 申請するのは自治会・町内会です。農家個人では申請できません
- 道路などの公共空間を撮ること。撮影範囲の半分以上が道路、という市町村も多くあります。個人の財産(倉庫や畑そのもの)を守るためのカメラは対象外、と書いている市町村もあります
- 映像の管理のルール(誰が見られるか、何日残すか、警察への提供の手順)を、自治会として決める必要があります
- 多くは前の年度に事前協議が必要です。思い立ってすぐには付けられません
- 交付決定の前に発注・着工すると、対象外になります
だからこそ、「農道や集落の入口の
道路を撮るカメラ」として計画するのがポイントです。畑を撮るのではなく、畑に入る車が通る道を撮る。これなら、補助の目的(地域の安全)と、農家の目的(盗難対策)が重なります。
進め方
- 近所の農家と、町内会・自治会に声をかける。同じ道を使う農家が何軒あるか、被害が出ているかを話し合います
- カメラの場所を決める。農道の入口、集落に入る道など、車が必ず通る場所です
- 市区町村の補助を確認する。自治会向けの補助があるか、条件(撮影範囲、事前協議の時期)は何かを、市区町村の担当窓口に聞きます
- 見積りを取る。補助の要件に合う機器と構成で、申請に使える形の見積りを出してもらいます
- 運用のルールを決める。電気やネット回線の契約を誰の名義にするか、映像を誰が見られるか、何日残すか
- 申請して、交付決定を受けてから工事。
お金をかけない対策は、今日からできる
カメラの話が進むまでのあいだも、次のことはすぐにできます。
- 収穫したものを、畑やハウスに置いて帰らない
- 倉庫やハウスは、必ず施錠する
- 「防犯カメラ作動中」「盗難防止警戒中」のステッカーや看板を、道から見える位置に出す
- 作業する人には腕章、車にはステッカー。見慣れない人や車が目立つようにする
- 地域のパトロールに参加する。栃木県真岡市の「いちご守り隊」のように、警察・市・JAと合同で見回る地域もあります
ご相談はこちら
小規模農家の方の、自分の倉庫や畑に付けるカメラのご相談をお受けします。電気がどこまで来ているか、どこを撮るかを確認して、費用を抑えた構成をご提案します。何軒かの農家や町内会でまとめて付けるカメラのご相談もお受けします。補助金を使う場合は、要件に合う構成と、申請に使える形の見積りをお出しします。
なお、
遠隔地の場合は現地調査費用をいただくことがあります。費用の目安は、交通費と人件費です。お問い合わせの際に所在地をお知らせいただければ、調査費用が発生するかどうかを先にお伝えします。
夜間もフルカラーの防犯カメラ工事セットの料金は、詳しくはこちら(11月末まで特別セール)。
株式会社White&Green
東京都千代田区神田佐久間町3-37-1-203
TEL:03-5809-3116(営業時間 10:00〜18:00)
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬
お問い合せフォームはこちら
農業の防犯の記事
農業の防犯カメラ補助金(県別・全市町村とJAを調査):茨城県・
栃木県・
群馬県・
千葉県・
埼玉県・
東京都・
神奈川県
よくあるご質問
小規模農家でも、防犯カメラを付けられますか?
付けられます。自分の家の倉庫や作業場、家の近くの畑やハウスなど、電気が来ている場所に、サイレンなしのカメラだけを普通に配線して付ければ、費用を抑えてできる可能性があります。カメラ・センサーライト・サイレンまで付けた構成(35万〜50万円程度)と比べて、費用はだいぶ下がります。家の近くの倉庫や作業場なら、一般の家庭に付ける場合(カメラ4台で20万円〜・税別)と同じか、少し上がる程度が目安です。
ソーラー式のカメラのほうが安いですか?
配線できる場所なら、ソーラー式でないほうがいいと当社は考えています。ソーラー式は通信料が毎月かかり、サイレンやパトランプとは連動できません。電気がまったく来ていない長い農道などでは、電気工事が要らない分ソーラー式が割安になります。
どこにカメラを付ければいいですか?
倉庫や作業場の出入口と、車をつける場所です。盗む側は車で来て、出入口から運び出すためです。家から見えにくい側の畑やハウスの入口も候補です。手の届かない高い位置に付けます。
何軒かでまとめて付ける場合、補助金は出ますか?
町内会・自治会として付ければ、自治会向けの防犯カメラ補助が使える可能性があります。関東では約100の市区町村にあり、補助率は2分の1〜10分の9、1台20万〜30万円のところが多いです。ただし申請は自治会・町内会が行い、道路などの公共空間を撮るカメラであることが条件です。多くは前の年度の事前協議が必要です。
畑を撮るカメラでも、自治会の補助は使えますか?
畑そのものを撮るカメラは、対象外になる可能性が高いです。自治会向けの補助は地域の安全のための制度で、道路などの公共空間を撮ることが条件になっています。農道や集落の入口の道路を撮り、そこを通る車を記録するカメラとして計画するのがポイントです。
カメラだけで、盗難は防げますか?
カメラだけでは、その場で侵入者を追い返すことはできません。ただし、何時にどんな車が入ってきたかの記録が残り、被害に遭ったときに警察に提供できます。「防犯カメラ作動中」のステッカーや看板と組み合わせると、ここは記録されていると伝わります。被害の大きい場所には、あとから光と音を足すこともできます。
お金をかけずにできる対策はありますか?
収穫物を畑やハウスに置いて帰らないこと、倉庫やハウスを必ず施錠すること、「防犯カメラ作動中」などのステッカーや看板を道から見える位置に出すこと、作業者や車に目印を付けること、地域のパトロールに参加することです。
この記事の出典
- 自治会・町内会向けの防犯カメラ補助の数と内容:関東7都県・全316市区町村の公式サイトを株式会社White&Greenが2026年10月に調べた結果(各県のページに公式ページへのリンクを掲載)
- 果樹園の1軒あたりの面積:農林水産省「2020年農林業センサス」をもとに計算
- 検挙率43.4%(令和6年):警察庁「財産犯被害額・回復額及び被害品別認知・検挙件数」
- いちごハウスでカメラとステッカーを付けたあとの事例、対策:農林水産省「農作物の盗難の実態と対応策」(PDF)
- いちご守り隊:栃木県 芳賀農業振興事務所
- 設置費用の目安(倉庫の構成、カメラだけの場合、家庭と比べた費用):株式会社White&Greenの施工・見積りの実務にもとづく内容です